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体の小さい日本人野手も、MLBでパワーヒッターになれる? アメリカで常識的な「ショート・コンパクト・スイング」の教え【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】

読売ジャイアンツなどでプレーし、その後ロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウトとして当時、黒田博樹投手や齋藤隆投手の入団に携わった小島圭市氏の連載。小島氏は現在、スポーツ環境の向上から青少年の育成に積極的に関わっています。今回のテーマは「パワーヒッター」について。MLBの日本人野手でホームラン数が少ないのは、体の大きさがすべての原因なのでしょうか?

2015/03/31

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アメリカでは引っ張る指導はない

 バットの軌道についても違いを感じます。メジャーのテレビ中継を見ていますと、「パーフェクト・インサイドアウト・スイング」という表現を使っているのをよく耳にします。インサイド・アウトでスイングができているかどうかがバッティングには重要であるという考え方があります。パワーヒッターの全員がそうあるべきとはいいませんが、インサイド・アウトを意識することで、バッティングが大きく変わると思います。
 
 2012年にMLBで三冠王(アリーグ)を獲ったミゲル・カブレラ選手(タイガース)は、インサイド・アウトが完璧にできているため、高打率を残しつつホームランも量産できるのです。
  
 驚かれるかもしれませんが、アメリカでは「引っ張る」ことを指導されることはまずありません。また、一般的にうまく逆方向に打った打球でも、「うまく流し打ちをしましたね」と日本では言われますが、考え方としてはバットの角度でその方向に飛んでいるだけで、流しているという表現にはならないのです。
  
 つまり、ホームランを打つバッターというのは、一瞬のスイングで打つ効率がよく、インパクトに力を集中させているということです。フルスイングすれば、ホームランを打てるというわけではなく、ショートスイングでホームランを打っているといえます。ウエイトをやればパワーがつくというのは、外見からパワーがあるように感じるだけで、打つことというのは、力・スイング・角度を連動させるのが練習であり、バッティングの基本であると思います。
 
 このように、技術的な違いがあり、体の使い方が違うわけですから、日本で数年間プレーして、海を渡ってメジャーにいくと、長年やってきたものが身についてしまっている難しさはあるでしょう。明らかに全く違うものと戦うわけですから、そのズレを修正するのに数年を掛ける必要があるのです。
 だから、私はジュニア世代からしっかり体の使い方の基本を教えていくことが重要であると考えています。
 
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小島圭市 (2)
 
元ロサンゼルス・ドジャース 日本担当スカウト
小島圭市(こじま・けいいち)
 
1968年7月1日、神奈川県生まれ。東海大高輪台を卒業後の86年、ドラフト外で巨人に入団。 92年にプロ初勝利を挙げるなど、3勝をマークした。その後は故障に泣かされ、94年のオフに 巨人から戦力外通告。巨人在籍中の怪我の影響で1年浪人のあと、96年テキサス・レンジャーズとマイナー契約。1年間、マイナーリーグで活躍した。翌年に日本球界に復帰し中日ドラゴンズでプレー。その後は、台湾の興農ブルズなどで活躍し、現役を引退した。01年日本担当スカウトに就任。石井一久、黒田博樹(ヤンキース)、斎藤隆(楽天)の獲得に尽力。三人が活躍したことから、スカウトとしての腕前を評価された。2013年にスカウトを退職。現在はジュニア育成のため、全国の小・中学生の指導者へ向けた講演会活動や少年野球教室を展開している。http://kojimaallstars.net/
 
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