年齢で括らず、段階的成長を促す 子どもたちの野球指導の見直しを【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】
読売ジャイアンツなどでプレーし、その後ロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウトとして当時、黒田博樹投手や齋藤隆投手の入団に携わった小島圭市氏の連載。小島氏は現在、(株)K’sLabを立ち上げ、スポーツ環境の向上から青少年の育成に積極的に関わっています。今回のテーマは「Step By Stepの育成」。アスリートの育成をする上で、まず、練習の進め方や子どもとの接し方などを根本的に見直してみませんか?
2014/12/26
今回のテーマは「Step By Stepの育成」。前回のコラムで取り上げた「アスリート教育」という観点から、「運動神経」を発達させるためには、具体的にはどのように育成をしていけばいいのだろうか。
〝歩く〟という一つの動作から複合化する
アスリート育成のために、やるべきことは、非常にシンプルだと思います。
遊びの中から、歩く、飛ぶ、跳ねるというのを取り入れていくことが肝要でしょう。木登り、マット運動、鉄棒、跳び箱などの体操競技がメインになりますが、身体のあらゆる部分を刺激した運動を積み重ねていくと、野球でいうジャンピングスローのような動きが自然とできるようになっていきます。多種の競技を取り入れることで、運動神経の偏りがなくなっていくのです。
歩くだけという一つの動作から、歩く+ボールを捕る(2つの動作)、歩く+ボールを捕って投げる(3つの動作)、歩きながらボールを捕ってジャンプして投げる(4つの動作)というように、組み合わせて複合化していくと、野球のプレーでいうと、ジャンプして捕って投げるなど、様々なことに対応できるプレーが自然にできるようになっていきます。
基本的には遊ばせるようなイメージにして、そして、それぞれの段階に応じて、体幹メニューや練習内容の強度を上げて行くというのが理想ではないでしょうか。
前回のコラムの中で、ボール投げの低下の話をしましたが、(株)K’sLabでは「投げる」ことに関しての特別なプログラムを考案しています。
どういうものかといいますと、小さいボールと大きいボール、軽いボールと重いボールを用意し、それぞれの子どもの身体に合わせて、投げさせるのです。日本では、同じカテゴリーにいる選手は、みな同じボールを投げていますよね。しかし実際は、それらのボールを軽々と投げる選手もいますが、投げられない選手もいます。そういう子どもたちの体力の違いに合わせて、ボールの形と重さを段階的に変えていくのです。段階的に肩の強化を図る一つの試みといえます。
小学生の練習に「はいはい」の競争を取り入れるというのも面白いと思います。はいはいの動きをすることで、体幹が強くなり、肩の強さにつながるからです。そして、身体の変化につれ、距離を伸ばして練習の強度を上げていくのです。はいはいのリレーや逆向きはいはい、横や斜めなど、日々積み重ねていくだけでも、違う力が生まれてくると思います。そこに先ほど言ったような、ボール投げのプログラムを取り入れていけば、今までには存在しなかったようなプレイヤーが生まれてくるのではないかと考えています。