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アマチュア球界のエリートが新興校を指揮 皇學館大、城西国際大が全日本大学選手権初挑戦

6月8日に開幕する第64回全日本大学野球選手権(神宮球場、東京ドーム)。全国26連盟の代表校のうち、全国大会初出場となる皇學館大(東海地区学生野球連盟)と城西国際大(千葉県大学野球連盟)の戦いにも注目したい。

2015/06/07

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高木遊



テニスコートで練習していた皇學館大

 同じく初出場を決めた皇學館大は伊勢神宮のある伊勢市に本部を置く。

「神宮から神宮へ」を旗印にしてきたチームを率いるのは就任8年目の森本進監督だ。宇治山田商業時代には超高校級内野手として騒がれ、阪急からドラフト2位指名を受けるも入団を拒否。その後、名門・駒澤大に進学し、国鉄名古屋(現JR東海)でもプレーした。森本監督も城西国際大・佐藤監督と同様、エリート街道を歩んできたと言える。

森本進監督(皇學館大)

 だが、皇學館大は野球部専用の合宿所はおろか、グラウンドさえない。昨年3月まではテニスコートや軟式専用球場などを使用しており、「打撃練習もほとんどできない状態でした」と森本監督は言う。

 今でこそ、昨年3月に新装オープンした伊勢市の倉田山公園野球場で夜間に練習をしているが、同球場も市民利用が優先で、野球部も授業優先の方針のため、平日練習は約3時間前後に留まるなど、駒澤大とは環境は大きく異なる。
 
 それでも森本監督は「驚くというより、こういう環境だとはわかっていました。また、選手たちも野球が好きで何とか勝とうという気持ちがありましたからね」と話すように、環境を受け入れ、できることを1つずつ積み上げ、選手主体で動けるチームを作り上げてきた。今回の出場を賭けた東海地区大学野球選手権前には、先発投手も選手らと相談し、起用を決めたという。

 主将を務める二塁手の天満敦紀(4年・いなべ総合)は「森本監督は、温厚で粘り強い方です。当初は、強いチームにしたいという気持ちを押し殺し、やるのはお前たちだと我慢して、やってこられたんだと思います」と感謝の気持ちを口にし、「だからこそ全国大会出場を決めた時は、“ありがとう”という気持ちで、凄く高く胴上げしました」と笑った。
 監督そして部員たちがともに作り上げたチームで、次は全国大会初勝利を狙う。

 どうしてもドラフト候補選手や優勝候補の名門校に注目が集まりがちだが、こうした新興校が大学野球界ひいては日本球界全体のレベルアップに貢献している功績は大きい。

 経験豊富な監督が、その野球人生で培ったイズムをその大学に合った形で浸透させてきた両校の活躍に期待したい。

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