マイナーリーガーの待遇改善へ MLB選手会も後押し、ブルージェイズの決断が風穴開けるか
2019/03/21
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マイナーリーガーの過酷な現状
マニー・マチャド(サンディエゴ・パドレス)が10年総額3億ドル(約332億円)、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)が13年総額3億3000万ドル(約367億7000万円)、そしてマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)が12年総額4億3000万ドル(約479億円)と、今オフは超巨額契約のニュースが相次いだ。
その一方で、メジャーリーグのピラミッドを支えるマイナーリーガー達の給料は法定最低賃金を下回る過酷な薄給にあることは良く知られている。ところが最近になって、わずかながらもマイナーリーグにも待遇改善の動きが見られている。
発端になったのは、トロント・ブルージェイズが先月行った発表だ。それによるとブルージェイズ傘下のマイナーリーガー全員の給料が現在の5割増しになると大手雑誌「The Atlantic」が報じている。
昨年3月に米国会で成立したSave America’s Pastime Act、「アメリカの娯楽を保護する」と名付けられた法令は、その名に反してマイナーリーガーを最低賃金や時間外労働賃金を保障する労働基準法の適用対象外と定めた。現在米国の最低時間給は7ドル25セント。週5日、1日あたりの勤務時間を8時間とすると、労働法で定められた1か月の最低賃金は1160ドル(約13万円)になる。週40時間以上働くと時間外労働賃金が発生する。
だが、この法令が成立したことによって、職業野球選手はその賃金規制の対象外とあらためて規定された。その結果、多くのマイナーリーガーがシーズン中の月給を約13万円以下に抑えられることになり、球団側は法のお墨付きを得た。
その月給も支給されるのはシーズンがある4月から9月までの間に過ぎない。オフシーズンはもちろんのこと、春季キャンプ中も選手の多くは無給で参加する。ドラフトで上位指名を受けた選手は億単位の契約金を受け取っているが、そうした一握りの選手を除いてマイナーリーガー達の生活は非常に苦しい。