【2015年ブレイク選手】阪神・歳内宏明、来季はトラのクローザーも!? シーズン終盤の快投でつかんだ信頼
呉昇桓の退団で新守護神の確立が急務となった阪神は、早速抑え候補の新外国人を獲得する方針だ。しかし金本知憲新監督も頭を悩ますこの問題を解決するのは、今季飛躍を遂げた22歳の若き右腕かもしれない。
2015/12/24
「制球力」があがれば、クローザー候補の1人に
実はシーズン終盤、守護神の呉昇桓が戦線離脱した際に、好調だった歳内をクローザーに推す声がチーム内であがったことがある。結局、経験不足と競った場面での登板が少なかったことから見送られたが、それほどまでに終盤、歳内の安定感は群を抜いていた。
しかし、首脳陣が歳内のクローザー抜擢を決断できなかったことには、もちろん理由がある。それが、プロ入り後いまだ解消できない「制球力」への不安だ。
今季の歳内の四球数は27。登板回数が34回1/3なので、9回あたりの与四球率は実に7.08。プロの投手として、この数字はあまりにも多すぎる。
裏を返せば、これほどまでに四球を出しながら一軍で結果を残せたことが驚異的ともいえる。四球27に対して被安打はわずか15。被打率.140という数字もまた、突出している。
ちなみに、チームメイトで今季セーブ王のタイトルを獲得した呉は被打率.243、今季の最優秀中継ぎ投手で、呉不在時にクローザーを務めた福原忍は.276。
数字だけ見れば、「制球力」さえ向上すれば歳内にはクローザーを任せられるだけの能力が間違いなくある。
事実、来季から新監督に就任する金本知憲は、クローザー候補の1人に歳内を指名。
「若手を複数起用しながら」という「拡大クローザー構想」であるため、単独での指名ではないが、それでも首脳陣からの期待は非常に大きい。
秋季キャンプでは「カウントが悪くなった時、ストライクが取れる球種をストレート以外にも持っておきたい」という理由から、今季は投げなかったスライダーに磨きをかけた。
「ストレートとスプリット」の実質2球種からの脱却――。
その先に見据えるのは、セットアッパー、そしてクローザー定着に他ならない。
「最低でも50試合を投げたい。今年は1年間中継ぎでやれたので、試合に入るまでの(肩の)作り方や体のケアを学ぶことができた」
“顔見せ”の1年を経て、若き右腕は来季、さらなる高みを目指す。