「打たれても信頼を失わない」セリーグ最高のセットアッパー福原忍の“名人芸”
2年連続セリーグのホールド王に輝いた福原忍。しかし防御率だけを見ると他球団のセットアッパーのほうが良い。それでもホールドを積み上げられているのには理由がある。
2015/12/22
失点しても次の試合では立て直せる強さ
HPを記録した81試合での失点は6試合だけだが、他の40試合のうち22試合で失点している。
この数字だけを見れば、信頼がおけるセットアッパーとは言いきれないが、ここ2年間で連続で失点したケースは4度しかない。失点しても次の試合では立ち直る。失敗が尾を引かない。これが最大の強みだ。
福原は98年ドラフト3位で阪神に入団。1年目は救援、2年目、3年目は先発、救援を掛け持ちするなどポジションが定まらなかった。2004年から先発に固定され、3年間で30勝を挙げる。
しかしそこからまた低迷期があって、2011年以降に自らの地位を確立、当初は敗戦処理が多かったが、次第に投球内容が良くなり2012年からセットアッパーに定着した。
セットアッパーになって進化したのは「制球力」だ。
先発時は9イニング換算で4個前後の四球を出していた時期もあったが、この2年間の平均は2.6個。制球力が上がったことで、投球に安定感が増したのだろう。
福原は、マウンドに上がっただけで相手チームがあきらめるようなセットアッパーではない。しかし多少打たれても「何とかできる」、優れたベテラン投手だ。そして深刻なスランプには陥らない。だからチームの信頼を失わない。
こういうタイプのセットアッパーもいるのだ。