【PR】なぜこれほどベイスターズは弱いのか?――2010年に知った異常事態<村瀬秀信氏インタビュー#1>
このたび、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』(双葉社刊)が文庫化された。著者・村瀬秀信氏がこの書籍を通じて野球ファンに伝えたかった思いとは――。2回にわたりインタビューをお届けする。1回目はそもそもこの書籍がどのような経緯で誕生したかを中心に伺った。
2016/01/28
書籍誕生のきっかけ
なぜ、これほどまでに弱いのか?
どうしてこのチームは、38年に一度しか優勝できないのか?
1950年に誕生した大洋ホエールズの時代から現在の横浜DeNAベイスターズにわたり球団を苦しめてきた闇深き謎――この難解なパズルに真正面から立ち向かい、好評を得たノンフィクション『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』(双葉社刊)がこの1月に文庫化された。
著者の村瀬秀信氏は、幼少のころからホエールズとベイスターズのファン。自虐的と呼ばれる古くからの横浜ファンらしく、その文章は哀感がありながらも軽妙。当時の事情を知る選手、関係者たちのインタビューは、まるで悲劇と喜劇が交差する物語のようで読み手をぐいぐいと惹き込んでゆく。
文庫化にあたり、村瀬氏に改めて本書について話を聞いてみた。まず、なぜこの負の歴史を総括するような本は誕生したのか。
「単純に昔から何でこんなに勝てないんだろうという思いはあったのですが、直接的な動機は2010年にベイスターズのある選手と立ち話をしているとき『今のベイスターズに残りたいと思っている選手なんて誰もいませんよ』という言葉を聞いて衝撃を受けたからなんです。これは異常事態だと。このままではこの球団は終わってしまう。何故こんなことになってしまったのか調べる必要があるんじゃないかって」
チームの末期的な状況を直接耳にし、ファンとして、そしてジャーナリストとしての使命感が村瀬氏を突き動かした。
「それに付随し、98年の優勝メンバーの多くが不遇な晩年を過ごしチームから去り、また内川聖一や村田修一、吉村裕基、古木克明をはじめ、その他たくさんの才能豊かな選手たちがチームからいなくなってしまった。これはどう考えてもおかしいだろうと。その理由を知るために編集者と企画を練っていたのですが、ちょうど2011年に親会社がTBSからDeNAに替わることもあって、このタイミングしかないと思って作業に入りました」