『1軍めざし、1球にすべてを懸ける』DeNA白根、育成選手としての苦悩を乗り越え再出発
昨年トライアウトを受けた選手の中で注目を集めたのが白根尚貴だった。ホークスから育成選手として再契約の打診があったがそれを断り、あえて厳しい選択を選んだ。そして、ベイスターズで支配下選手としての契約を勝ち取った今、白根は何を思うのか。
2016/02/12
退路を断って、トライアウトへ
チャンスは自らの手でつかむものだ。
居残り練習で黙々とバットを振る背番号「60」を見ながら、そんなことを思った。
「2年ぶりの支配下選手になれたんですけど、こんなにとんとん拍子で1軍の練習に参加できるなんて思っていませんでした。でも、これが支配下選手なんだろうなって」
白根尚貴は、そういってつかんだチャンスを噛みしめる。
キャンプは2軍スタートながら、4日に1軍に合流すると7日の紅白戦では最初の打席に移籍後初安打をマーク。1球一打に全身全霊を懸けている。
昨季までホークスの育成選手だった彼が意を決したのは昨年11月のことだ。
昨シーズンは開幕からリーグ首位打者を争うなど好調をキープして、ジュニアオールスターに選出(試合は雨天中止)。打率.273、3本塁打の成績を残して2015年シーズンを終えていた。ところが、ホークスが白根との2016年の契約を打診したのは、この年と同じ育成選手としてだった。
「もしかしたら、どこかが支配下選手として拾ってくれるかもしれない」
そう思った白根はホークスとの育成再契約を蹴り、12球団合同トライアウトを受ける決断をしたのである。
異を唱えなければ、最低でもホークスで1年は現役を続けられた。だが白根は同じことを繰り返しても先は見えてこないと自らの手で支配下登録を勝ち取る選択に打って出たのだ。その結果、ベイスターズと契約を結ぶに至ったのである。