セ最多4人。選手育成成功のカギ握る、ベイスターズ“元スカウト”コーチ
横浜DeNAベイスターズは、現在4人のスカウト経験のあるコーチが選手指導に当たる。
2016/03/03
選手本来の持ち味を理解できている
ある立場の者は「この程度の選手ではなかった」と不審を抱き、また一方の立場の者は「どういう選手を獲ってきているのか」と憤る。
野球界の中にはジレンマと呼べるものがある。
これ、選手をチームに入れたスカウトとそれを受けるコーチの関係だ。
当人たちはチームを強くしたい想いで共通している。しかし、互いに不平を言い合っているというのが現状で、両者の風通しが潤滑に進まないジレンマがあるという。
理想像としては選手の特性を見つめたスカウトの評価をコーチが把握し、指導にあたる。そうすることで効率よく育成が図られていくはずだが、各球団それほどうまくいっていないというのが正直なところなのだ。
その中でカギを握るのがスカウト経験を持つコーチの存在だ。
ヤクルトの元監督・小川淳司SDがスカウトだったというのは有名な話だが、現在の球界にはたくさんのスカウト出身のコーチが在籍している。彼らはどれほどの影響力を発揮していくべきなのだろうか。
セリーグ最多となる4人の“元スカウト”コーチを抱えているのが、横浜DeNAベイスターズだ。
ヘッドコーチの進藤達哉、内野守備走塁コーチの万永貴司、ピッチングコーチの木塚敦志、打撃コーチの小川博文である。彼らにはスカウトとしての経験があり、選手育成におけるキーパーソンだ。
進藤ヘッドはスカウト出身コーチとしての想いをこう語る。
進藤は現役引退後にコーチを務めたあと、08年から2年間スカウトを務めている。
「スカウトにとっては担当した選手に関して『こういう選手だった』というのを持っているんですよ。『○○選手はこの部分が持ち味だ』というのが見える。例えば、一昨年の秋にコーチに帰ってきて松本啓二朗を見たときに感じる部分がありました。自分がスカウトをしていた早稲田の時、松本はもっと大きくバットを振っていたよなぁと。あてに行くようなバッターになっていたんで、松本にはその話をしました。それを知っていたことがどの程度の効果を生み出したかは別の話になりますけど、スカウト出身のコーチにはそういうのが見えてくるのかなと思います」