江尻、東野、八木らがアピール! 独自採点で第1回プロ野球12球団トライアウトを振り返る(投手編)
11月9日に第1回プロ野球12球団合同トライアウトが行われた。当日は雨模様で、室内練習場での開催かと思われたが、一気に天候が回復。シートノックは室内練習場で行われたが、それ以外のシート打撃はメインの草薙球場で実施された。すでに一部の選手に関しては、各球団が関心を示していると報道もあった。そこで、当日トライアウトを取材した中島大輔氏の視点で、参加選手のプレー内容を評価してみた。
2014/11/10
baseballchannel
1軍実績組がアピール。矢地や陳らも結果を残す
11月9日(日)、草薙球場で第1回プロ野球12球団合同トライアウトが行われた。
バックネット裏に座って取材をしていると、後ろから阪神贔屓と思われるファンの声が耳に入ってきた。
「どういう基準で合格、不合格が決まるのか、教えてほしいよね」
筆者が思うに、スカウトが見ているのは「一軍で即戦力になるか、否か」だ。そこで、試みとして全59選手を採点した。
12球団のファン、それぞれ選手に対する想いはあるだろう。ここは、あくまでも筆者の一意見としてとらえていただきたい。
採点の基準は以下の2点とした。
・一軍で戦力になりそうか、否か
・重圧のかかる舞台で、持ち味をグラウンドで表現できたか
評価は「A=まだ活躍できる」「B=可能性あり」「C=このままでは厳しい」としている。エラーは「アウト」としてカウントし、カッコ内に詳細を記した。
なお、トライアウトはカウント1-1からのスタートとなっている。
トライアウトを通じて入団に至るケースは実際、少ない。
次は、20日(木)に第2回プロ野球12球団合同トライアウトが開催される。
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1)富永一(独・徳島、元広島)
採点:C 結果:安打2(本塁打1)、四球1、フライアウト1
寸評:速球の最速は138km。キレを感じられなかった
2)塚田晃平(米・独立リーグ、元広島)
採点:C 結果:安打1、四球1、フライアウト2
寸評:速球で差し込み飛球アウトをふたつとったが、変化球にキレ欠く
3)江尻慎太郎(ソフトバンク)
採点:A結果:空三振、フライアウト2、ゴロアウト1
寸評:最速145kmの速球は力あり。バックドアのスライダーで井藤のタイミングを外し、投手ゴロに。中継ぎで1回を任せられる
4)藤井秀悟(DeNA)
採点:B 結果:四球2、ゴロアウト2
寸評:2四球は明らかなボールを3球続けるも、うまくタイミングを外す投球術でゴロアウトをふたつ。ロングリリーフを必要とする球団があれば
5)押本健彦(ヤクルト)
採点:B 結果:四球1、空三振2、ゴロアウト1(投手ゴロエラー)
寸評:フォークで打者を手玉にとり2三振。だが2死3塁から直球、スライダーが抜けての四球は、リリーフとして考えると評価下げる
6)川﨑雄介(西武)
採点:C 結果:安打2、空三振2
寸評:左打者に2三振、右打者に被安打2。1イニングを任せるのは不安
7)荻野忠寛(ロッテ)
採点:C 安打1、四球1、死球1、ゴロアウト1
寸評:フルカウントから抜けたカーブで四球、制球ミスの死球はリリーフとして不安
8)根本朋久(日本ハム)
採点:C 本塁打1、四球1、ゴロアウト1、フライアウト1
寸評:先頭打者の星は左対左だったが、初球の速球が甘く入り、被本塁打は最悪の結果
9)梅津智弘(広島)
採点:C 安打2(二塁打3)、四球、フライアウト1(サード落球から送球アウト)
寸評:速球に力なく、制球も乱れる
10)甲藤啓介(オリックス)
採点:A 空三振1、フライアウト2、ゴロアウト1
寸評:140km台前半の速球に力あり、スライダーの精度もあり
11)八木智哉(オリックス)
採点:A 見三振1、ゴロアウト2、フライアウト1
寸評:星を見逃し三振、神戸をショートゴロに打ち取ったスライダーは抜群の精度。内外角のギリギリを突ける技術、気持ちは先発、リリーフで戦力になる
12)小林太志(DeNA)
採点:A 三振3(空1、見2)、フライアウト1
寸評:速球は130km台後半だが、球威、精度あり。右打者の松冨には外角スライダーで、腰を引かせるほどタイミングをずらして見逃し三振。試合をつくれそうな内容
13)井坂亮平(楽天)
採点:C 結果:安打1、フライアウト2、ゴロアウト1
寸評:空振りをとった球がない。一軍で生きる勝負球が見当たらない
14)星野真澄(巨人)
採点:B 結果:安打1、空三振1、フライアウト1、ゴロアウト1
寸評:高橋に136km速球を打たれたように球威欠き、右打者には不安残すも、左打者にはスライダーが効きそう。ツーシームもあり、幅を使って勝負できる
15)真田裕貴(ヤクルト)
採点:B 結果:内野安打1、見三振1、ゴロアウト1、フライアウト1
寸評:スライダー、シュートの制球よし。外角高めでカウントとれる。サードへの内野安打はイレギュラーしたもので、実質アウト
16)西村憲(阪神)
採点:B 結果:フライアウト3、ゴロアウト1
寸評:130km台後半の速球で詰まらせ、精度もあり。変化球をほとんど投じず、これをどう評価するか
17)眞下貴之(DeNA)
採点:C 結果:本塁打1、四球1、フライアウト1、ゴロアウト1
寸評:角に速球を4球ファウルで粘られたように、球威なく、空振りとれない。4人目の安田には3球続けて明らかなボールと制球も不安
18)東野峻(オリックス)
採点:A 空三振2、死球1、四球1
寸評:最速145kmの速球は球威、精度あり。右打者に腰を引かせるシュート、左打者に手を出せないバックドアのスライダーと、変化球の使い方も絶妙
19)岸敬祐(ロッテ)
採点:B 空三振1、ゴロアウト2 ※井藤はスイングしたボールが頭部にあたり、そのままベンチに
寸評:130km台前半の速球を低めに集めてゴロを打たせる。反面、これといったボールがない
20)藤谷周平(ロッテ)
採点:C 結果:安打1、ゴロアウト1、フライアウト2
寸評:森田に2球、神戸に5球ファウルされたように、速球で空振りとれない。精度という点で、制球力が物足りない
21)雨宮敬(巨人)
採点:C 結果:四球2、フライアウト1、ゴロアウト1
寸評:高めに浮く球が目につき、2四球は自滅
22)矢地健人(中日)
採点:A 結果:空三振2、ゴロアウト2
寸評:サイドハンドから力強い速球を投げ、テンポもよし。フォークはキレあり。なぜ一軍で結果を残せなかったのかと疑問に思うくらい、打者を圧倒
23)井上公志(中日)
採点:B 結果:安打2(本塁打1、内野安打1)、空三振2
寸評:森田の本塁打は速球のコースが甘かった。ただ最速145kmの速球は力あり、スライダーもキレある
24)冨田康祐(DeNA)
採点:B 結果:四球1、見三振1、フライアウト1、ゴロアウト1(サードエラー)
寸評:スライダー、シュートでストライクゾーンを広く使える。試合をつくってくれそう
25)陳冠宇(DeNA)
採点:A 結果:安打1、空三振1、フライアウト2
寸評:スリークオーターから投げる140km台中盤の速球、スライダーともにキレあり。テンポもよし。ライト前安打は右に打った井野の技あり
26)佐藤祥万(日本ハム)
採点:B 結果:安打1、四球1、ゴロアウト2
寸評:スライダー、チェンジアップをコースに決められていた。速球も走っていて、活きる場所を見つけられれば
27)山崎正貴(オリックス)
採点:C 結果:安打2(内野安打1)、四球1、ゴロアウト1
寸評:変化球が抜け、制球に苦しむ
28)辻孟彦(中日)
採点:C 結果:四球1、フライアウト3
寸評:130km台後半の速球は悪くないが、1度も空振りをとれず。スライダー、チェンジアップも勝負球にならなそう
29)有馬翔(楽天)
採点:C 結果:安打2、空三振1、フライアウト1
寸評:速球は130km台中盤、変化球は抜けが目についた。左打者の森田に甘いスライダーを右方向に引っ張られたのも、左の中継ぎとして減点材料
30)鈴木駿也(ソフトバンク)
採点:C 結果:二塁打1、三振2(見1、空1)フライアウト1
寸評:速球は130km台中盤、球威的に微妙
31)伊藤拓郎(DeNA)
採点:C 結果:内野安打1、四球1、空三振1、フライアウト1
寸評:投げた球種はスライダーと130km台後半の速球。帝京高校時代に甲子園を湧かせた面影なし
32)運天ジョン・クレイトン(日本ハム)
採点:C 結果:安打1、四球1、フライアウト2
寸評:球威はあるが、制球に不安。起用法が見えにくい
33)木村謙吾(楽天)
採点:C 結果:二塁打1、四球1、フライアウト2
寸評:速球は130km台中盤、制球も微妙。東にフルカウントから勝負球としてスライダーを低めに投げたが、見極められたのはキレを欠く証左
34)北方悠誠(DeNA)
採点:C 結果:四球2、フライアウト2
寸評:速球は130km台中盤。ストレートの四球がふたつあるように、制球難を露呈。かつぎ投げのようでフォームが小さく、剛腕を活かせていない