攻守において評価の高いDeNA戸柱。得点力向上がポイント【野村弘樹の眼】
12球団で唯一、クライマックスシリーズ進出を果たせていないのが横浜DeNAベイスターズ。開幕から数試合を消化したが、OBの野村弘樹氏の眼にはどのように映っているのか。次には野手編だ。 (元横浜ベイスターズ・野村弘樹氏 トークショー&サイン会の内容の一部を編集)
2016/04/05
戸柱は長打力も魅力
横浜DeNAベイスターズの懸念材料の一つとして、“センターラインを固定できるか”が挙げられているのは周知の通り。野村弘樹氏はオープン戦や開幕戦を見るかぎりルーキーの柴田竜拓、戸柱恭孝の台頭により改善に向かっていると感じている。
「両者ともルーキーですから1年を通して計算するのは難しいのですが、柴田は3月25日の広島との開幕戦でタイムリーを打つなど存在感を示しています。しかし翌日の守備ではタイムリーエラーを犯してしまいました。ここは切り替えて次につなげてほしいですね。ただ私の高校の後輩である宮本慎也がドラフト後に『柴田の守備はうまいですよ』と高い評価をしていたので、これは私が言うよりも説得力があると思いますね(笑)」
そして新人ながら正捕手の座を射止めた戸柱の存在がチームに新たな活力を与えている。戸柱に関し、光山英和バッテリーコーチは「堅実な選手」だと評価している。
「捉え方はいくつかあると思うのですが、キャッチャーはピッチャーの特性をうまく引きだす一方、バッターの弱点を攻めなくてはいけません。さらに立ち上がり、中盤、終盤、ゲーム展開によってリードは変わってくる。私が見るかぎり戸柱はその辺りを自分で把握しているという意味で光山コーチは堅実だと語ったんだと思いますね。戸柱が1年間頑張ることで当然ピッチャーやチームに与える影響は大きいわけですから、ルーキーだということは関係なく、ここはしっかりとやり抜いて欲しい」
ラミレス監督は当初“ベンチからサインを出す”という意向を示していたが、戸柱に対してオープン戦中盤からほとんどサインを出していない。
「勝負どころではベンチからサインが出てもいいと思います。私たちが1998年に日本一になったときも、ここぞという場面では監督の権藤(博)さんからサインは出ていました。1球がゲームを左右する場面では、ベンチからサインが出ることでバッテリーは安心します。勝とうが負けようが監督が責任をとるわけですから、そういった選手へ対するフォローも大切です。
またチーム1号ホームランを放った戸柱は長打力も魅力です。アベレージも残せそうですし、現代野球の捕手は昔みたいにリードが良くて打率は2割ちょっという成績では難しいので、あのバッティングができる打者が8番にいるというのはチームにとって大きいと思います」