DeNA関根大気が一軍の試合を見なかった理由。”打率4割”の男が二軍で過ごした「有意義な時間」
関根大気が昇格後、さっそく打率4割近くの結果を残している。
2016/05/03
忘れなかった昨季の教訓
「一軍の試合をテレビで見ている時間があるなら、なにか新しいことができるんじゃないかって」
プロ野球選手にとってケガは、程度の差こそあれ付きものといっていいだろう。誰にでも起こり得ることだ。だが、ケガをし治療する期間の過ごし方は、選手それぞれの裁量によって異なるものである。
横浜DeNAベイスターズの関根大気はオープン戦が行われた3月12日、スライディングで体勢を崩し右肩を脱臼した。
20歳の関根は、オープン戦序盤ながら打率4割を記録し、ラミレス監督から大きな期待を寄せられていたが、アクシデントにより開幕を一軍で迎えることは叶わなかった。
勝負の年と位置付けていたプロ3年目、さぞかし落胆しただろうと想像していたが、本人に尋ねてみるとまったくそんなことはなかったという。
「全力でプレーしての結果ですし、なぜああなってしまったのか考えたところで、ケガをした事実は変わらないし、早く治るわけでもない。少なくとも次に同じ失敗をしないということを考えるぐらい。それよりも、この治療期間をいかに有意義に過ごせばいいのか、ケガの翌日からしっかり切り替えました」
昨シーズン、関根は好調を維持していた5月後半に左カカトを負傷し戦列を離れている。約1カ月後に復帰するもケガ以前の調子を取り戻すことなく、一軍と二軍を行き来する不本意なシーズンを過ごしてしまった。
関根は昨年のことを教訓にしたという。
「昨年のケガの期間、自分なりにやれることはやったけど、もっと何かできたんじゃないかって考えたんです。そこで今回は、一軍が試合をしている時間をもっと有効に使おうって。もちろん一軍の試合を見るのは大事なのですが、実際それだけで約3時間奪われてしまうわけです。昨年は悔しさから一軍の試合をずっと見ていましたが、今回は気にはなるけど結果のチェックだけして、それ以外の時間は勉強に当てることにしたんです。坪井(智哉)打撃コーチからも、新しいことに取り組んで自分にとって良い時間にしろとアドバイスを頂いたので」
オープン戦からシーズンインし関根の復帰予定まで30試合以上、1試合約3時間、累計すると膨大な時間がそこにはあった。関根はケガのケアはもちろん、野球にまつわる運動学や栄養学、肉体に関する勉強をたくさんしたという。大学生や社会人出身ならばいざ知らず、高校を卒業してそのままプロになった関根にしてみれば、プロ野球選手として必須の要素をロジカルに知る貴重な時間だったに違いない。