大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



菊池雄星VS筒香嘉智「ストレート待ちにストレート」。“平成の新名勝負”はじまりの予感【中島大輔~この1球をクローズアップ】

結末を迎えて欲しくない試合がある。しびれるような名勝負は、いつまでも、何度も、見ていたいものだ。6月1日の西武の左腕・菊池雄星とDeNAの主砲・筒香嘉智との間で繰り広げられた対決は、まさに、そんな気持ちにさせられた名勝負だった。今回は西武対DeNAの4回表2死、3球目の場面だ。

2016/06/06

text By



互いをリスペクトする言葉を残した2人

 結局、6回に一挙5点の援護をもらった菊池は7回100球を投げて被安打3、無失点で今季5勝目。これで20イニング連続無失点という状態の良さについて、菊池はこう話している。

「今まではたぶん、(配球に)興味がなかったですね。困ったらストレートとしか考えていなかったので。それだけじゃ勝てないと今季序盤ですごく感じて、最近は銀さん(炭谷)と配球を話せるようになったのかなと思います。がむしゃらで投げるところはそれでいいと思いますけど、やっていいときとダメなときがある。考えてやるときも必要だし、力で押すのも必要です」

 菊池がこの日のDeNA戦で大きな成長を見せた一方、筒香も手をこまねいて敗れたわけではない。0対5で迎えた7回表の第3打席、内角146kmのストレートをコンパクトなスイングでセンター前に鋭く弾き返した。前の2打席を生かし、さらに無安打では終われないと感じたのかもしれない。

 互いに電話番号を知らず、普段はグラウンドで「よぉ」と挨拶を交わすくらいの間柄である二人は試合後、報道陣を通じて互いの健闘を称え合っている。

「僕らの世代では高校時代も筒香はナンバーワンでしたし、今でも日本一のバッターだと僕は思っています。そういうバッターと対戦できて、すごく高まるものがありました。対戦を楽しめましたね」(菊池)

「高校時代のことはあんまり覚えていないんですけど、球が強いですね。ただ速いだけじゃなく、強さもあります。投げる体力もありますし、コントロールもきちっとくる。球界の中で少ない部類の投手じゃないですか」(筒香)

 以上が、今やチームの顔になった二人による激闘の軌跡だ。

 次の対戦が早く見たくなるような名勝負だった一方、プロで初めて肌を合わせたからこそ燃える部分があったかもしれない。そうした意味で、普段は見られない対決が実現する交流戦はやはり意義深い。

 菊池と筒香が真剣勝負の場で再び顔を合わせるのは早くて日本シリーズか、もう少し時間が必要なら1年後か。さらにレベルアップして迎える二人の名勝負が、今から楽しみでならない。
(取材協力:氏原英明)

1 2


error: Content is protected !!