DeNAの第2捕手・髙城俊人、成長の軌跡――出場少も勝利へ導く『ピッチフレーミング』
相性がいい山口俊の専属捕手として、週に一度はスタメンマスクを被る髙城。試合に出ていないときも、常に準備を怠らない。
2016/06/12
配球に影響を与えるキャッチャーの技術
ストライクかボールかきわどい判定に影響を与える捕手の技術であるピッチフレーミング。かつて名捕手といわれた古田敦也はこの技術を駆使し、抜群のミットさばきできわどいボールをことごとくストライクと審判にコールさせていた。
当然、露骨にミットを動かせばボールとコールされるため、感覚に長けた技術が必要となる。ちなみに戸柱もピッチフレーミング能力が高い捕手だと言われている。
「やっぱりストライクかボールか判定に迷う球って、投げたピッチャーからしたらめちゃくちゃ良い球なわけですよ。ピッチャーが投げたその良いボールをストライクにしてもらいたいという思いは強いし、逆にボールになると組み立てが苦しくなる。
そこは光山(英和)バッテリーコーチからすごく指導されていてトバ(戸柱)さんと取り組んでいるんですが、僕の場合はミットを大きく動かすことなくしっかりと自然に捕るという意識ですね。受け止める、といった感じでしょうか」
ピッチフレーミングは、今年のチーム方針である“内角攻め”にも重要な技術である。
「インコースの真っ直ぐというのはピッチャーからしたらやはり投げづらい球なんです。だからストライクが取れると、その後の組み立てがまったく変わるし、相手バッターへ与える影響も大きい。やっぱりそこはキャッチング勝負になると思いますね」
出番は少なくともチームへ貢献するため日々成長を遂げている髙城。その想いはバッティングにも現れている。出場機会に恵まれておらず打席数は少ないものの6月11日現在、打率.263、得点圏打率.385、打点7とまずまずの結果を残している。
「得点圏での打席は集中していますね。実は昨年まではバッティングが苦手で、あまり結果を気にすることなくやっていたんです。けど今は週に一回しか出られないので、ようやく打席に立てるってプラスにとらえながらバッティングをしています。気持ちとしてはすごく前向きですよ」
冒頭で述べたように髙城は腐ることなく、持ち前の明るさでゲームに集中している。
「とにかく不安になると思った通りのプレーができなくなるので、そこだけは気をつけています。また夏場以降はケガや疲労があっていつ自分の出番が来るかわからないので、そのときパッと出ていって課せられた役割を果たすことができれば、出番は増えていくと思います。とにかく準備を怠らないようにしていきたいですね」
この話を聞いた2週間後の6月10日のオリックス戦、髙城は先発ピッチャーが山口以外の試合で今シーズン初のスタメンマスクをかぶった。久保康友を好リードし連敗脱出となるチームの勝利に貢献。試合後ラミレス監督は「髙城は本当にいいリードをしてくれたし、いいコンビネーションだったと思う。今日は髙城を先発させて良かった」と、チームを支える男の労をねぎらった。