DeNA下園と後藤G、“代打の神様”が明かす『成功率が高い理由』
8月になっても3位をキープするDeNAはリーグトップの代打成功率を誇る。なかでも窮地に陥ったチームを救う二人の“代打の神様”の存在感は絶大だ。
2016/08/12
驚異的な得点圏打率、“スペシャルワン”下園
昨年の大失速とは異なり、暑い盛りのこの時期になっても5割前後の成績を残しクライマックスシリーズ争いをしている今シーズンの横浜DeNAベイスターズ。
踏ん張りの源となっているのは、昨年悔しい思いをした選手たちの頑張りはもちろん、今季から指揮を執るラミレス監督の影響も大きい。
選手たちとのコミュニケーションの豊富さからなる信頼感あふれる選手起用。春先はちぐはぐとしていた采配も、現在はこれまで失敗した経験を活かし、緻密かつ大胆なものに変容している。さらに選手ひとり一人が自らの役割を理解し、勝利へと邁進している様子は、チーム全体としての成長もうかがえる。
今回、ラミレス監督の采配で注視したいのが、代打起用法である。
ここまでのチームの代打成功率は.297でリーグトップ(以下データは8月7日現在)。ちなみに最下位の巨人は.141である。終盤の勝負どころ、代打攻勢が功を奏しチームを勝利に導いたことも少なくない。今シーズンは乙坂智や山下幸輝、白崎浩之ら若手が代打としていい働きを見せてきているが、なんと言ってもチームに欠かすことのできない“代打の神様”といえば、ベテランの下園辰哉と後藤 G 武敏だろう。
左打者の下園は2012年、DeNA体制になった頃から代打に専念する機会が多くなり、勝負強い打撃はもちろん、打率を1割程度上回る出塁率で選球眼の良さをアピールし、スペシャルワンの存在として信頼されている。
今シーズン、ここまでの打率は.328、長打率.414、得点圏打率に至っては.500といったようにランナーを背負ったシーンで非常に大きな役割を果たしている。4月1日の阪神戦で下園は、0‐1のビハインド9回裏2死一、二塁の場面で登場し、右中間を破る逆転タイムリーヒットを放ち、プロ10年目にして自身初のサヨナラ打を記録した。
下園は好調の要因を以下のように語る。
「ラミレス監督がいいところで使ってくれるので、準備のしやすさはありますね」
春から結果を出してきた下園は、ラミレス監督から主に得点圏にランナーを背負った場面での起用を指示されている。一方、ランナーがいないケースなどでは、若手選手が打席に立つことになっている。
「だからゲームの流れを見ながら、ここだといった感じで出ていくことができる。今は結果も出ているし、やりがいを感じていますよ」
代打という特異性を鑑みると、チャンスで一発回答しなければいけないといったプレッシャーがあると思うのだが、その点はついてどうだろうか。
「難しいところですが、正直“打てないのが当たり前”と、開き直っているところがあって、それがいい方向につながっているのかな。かなり精神的に追い込まれるし、打てないとすごく落ち込むんだけど、それゆえに“打てないで当然”ぐらいの気持ちでアプローチしていかないと大変なんですよ」
ゲーム中、何度もチャンスがない代打という稼業。一発勝負の渦中を生きるにはメンタルがモノを言う。