DeNA下園と後藤G、“代打の神様”が明かす『成功率が高い理由』
8月になっても3位をキープするDeNAはリーグトップの代打成功率を誇る。なかでも窮地に陥ったチームを救う二人の“代打の神様”の存在感は絶大だ。
2016/08/12
「気持ちで刺されないことが大事」と語る後藤G
「4打席立てればそれがベストなのでしょうが、実際問題それは立場上かなうことはない。そこは割り切って代打で勝負していこうと自分の中では決めています。この道で生きていく、という信念は強く持っていますから」
こう力強く語るのは、今や横浜スタジアムで名前がコールされると生え抜きの選手以上の大声援が沸き起こるゴメスこと後藤である。
今シーズンはケガで出遅れていたが、7月13日に1軍へ合流すると、即代打で適時打を放ち首脳陣の期待に答えた。さらに8月2日の阪神戦では、8回裏に同点に追いつく代打ソロホームランを放ち、存在感を示している。ここまで12打席に立ち、打率と得点圏打率ともに.500。非常に頼りになる、野手最年長のアニキ的存在である。
ここ数年、代打の切り札としてその務めを果たしている後藤だが、今シーズンから指揮を執るラミレス監督の采配にどのような印象を持っているのか。
「ここぞと決めた場面では、とことん勝負に行く監督だなという印象がありますね。すごく気持ちの強さを感じるんです」
そんなラミレス監督の勝負にいく執念が見えたのが8月6日の中日戦である。
3点ビハインドの6回裏、2死1、2塁で8番戸柱に代え下園を送ると、さらに9番ピッチャー井納に代え後藤が打席に立った。まだ6回という試合中盤での下園と後藤の両切り札の起用。残りのイニング数を考えれば尚早のような気もしたが、畳みかけた結果、後藤がこの打席でヒットを放ち2打点を挙げ1点差に詰め寄り、その後8回に逆転するという流れを生みだした。
「ラミレス監督からは“こういう状況になったら行くから”と早めに言ってもらえるので、こっちとしては動きやすいというか、余念なく準備ができるんです。だいたい出番が考えられる一巡前ぐらいから準備を始めます」
先ほど下園も述べていたが、両者はラミレス監督の起用方法の特徴に「準備のしやすさ」を挙げていることが分かる。
後藤がつづける。
「代打っていうのは切羽詰まった場面や緊張して当たり前のチャンスで出ていくので、準備を怠るとまず結果は出ない。だからこそ淡々と準備をし、自分の中の邪念を取り払い、平常心で打席に入ることが大事になる」
では極論、代打に最も必要なモノとは何か。
「気後れしたら負けですね。いいボールで刺されないことよりも、気持ちで刺されないことが大事。代打が出てくると相手ピッチャーも敏感になるから、とにかく自分の本質を悟られてはいけない。淡々とどっしり構えて、“さあ、いらっしゃい”という状況を作り出すことが必要になりますね」
DeNAにとって頼りになるベテラン代打陣の言葉と存在感。
残り約40試合、クライマックスシリーズ争いなど順位を決定づけるとおぼしき痺れる場面での起用も増えていくに違いない。そこに向け両者は落ち着いて次のように答える。
「一打席しかないので準備をおろそかにしたら結果は出ない。大事な場面で後悔しないため、とにかく準備して挑みたいですね」(下園)
「僕の仕事は代打で出て、打点を挙げること。これがベストだと思うので、ファンの声援を背中に浴びながら期待に応えていきたいですね」(後藤)
勝負どころを見極める、ラミレス監督の代打起用術。その真価が本当の意味で試されるのは、これからだ。