DeNAサード争いから脱落。それでも2012年ドラ1・白崎浩之に期待する理由
クライマックスシリーズ(CS)進出をかけて、熾烈な戦いを続けている横浜DeNAベイスターズ。その争いのさなかに、逆襲を目指す選手が白崎浩之だ。開幕1番を務めた男はサード争いから脱落。ベンチから出場機会を虎視眈々とうかがっている。
2016/08/31
新生DeNAを象徴する選手だったはずが…
今シーズン、残り約20試合になってもCS争いを演じている横浜DeNAベイスターズ。指揮を執るアレックス・ラミレス監督の手腕もさることながら、昨シーズン、前半戦首位ながら史上初のリーグ最下位へ転落した悔しさからか、選手たちから諦めない気持ちが伝わってくる。
とくに阪神に3連敗した後の8月26日からの巨人戦3連勝は、選手たちの気概が強く感じられた。
さて、今シーズンに入る前のこと、DeNAはセンターラインが弱いという積年の課題があり、ここを安定させなければ上位浮上はないと言われていたが、蓋を開けてみればキャッチャーはルーキーの戸柱恭孝、ショートは2年目の倉本寿彦、センターに関しては最初、梶谷隆幸が予定されていたが代わって桑原将志が固定されたことで機能するに至った。センターラインの整備は時間がかかると思われていたが、期待こそあれこれほど早く成果が出るとは思ってもみなかった。
一方で目まぐるしく選手が入れ替わったのがサードである。
オープン戦で3割半ばの打率を残した4年目の白崎浩之が自身初となる開幕スタメン1番に入り、ラミレス体制による新生DeNAを象徴する存在となったが、結局シーズンが進んでも快音を響かせることができずレギュラーを外されてしまう。以後、サードは飛雄馬や山下幸輝、倉本、ホセ・ロペス、新加入のエリアン・エレラなど多くの選手が試されたが、現在は宮崎敏郎がホットコーナーを任されている。
この状況について進藤達哉ヘッドコーチは次のように語る。
「1年間戦うなかで、すべて思い描いたようにはいかないし、これはどこのチームにもあること。それが今年、うちの場合はサードだったいうわけです」
進藤ヘッドは現役時代、サードで3年連続ゴールデングラブ賞を獲得しているが、DeNAがサードに求める資質とは何か?
「うちのチームの現状を見れば、当然“打力”ということになりますね」
今シーズンここまで3割近い打率を残している宮崎がファーストチョイスだということは納得できる。ただ守備力を考えれば、宮崎はハンドリングが優れているものの、守備範囲の狭さとサードならではの速い打球への対応力が気になるところ。
「そこはエリアンのサードからのスローが不安なのと一緒で、宮崎もできることならばセカンドのほうが望ましい。まあそこはチーム事情ですからね。今は守備でもいいプレーが出始めているので自信を持ってやって欲しい」
筒香嘉智のあとの5番を打てる右の長距離打者である宮崎の台頭はチームにとって素晴らしいことなのは間違いないが、惜しむらくは守備力も長打もある白崎が1番サードのレギュラーとして定着できていたとしたら、チームはここまで苦しまなかったのではないかと淡い想像をしてしまう。