CS争いの舵取り役・DeNA戸柱は隠れた新人王候補。数字以上に優れた特異な“捕手力”
セリーグはクライマックスシリーズ3位争いが佳境を迎える。CS制度がスタートしてから初めての進出を狙う横浜DeNAベイスターズ。その中心に社会人から入団した、ルーキー捕手がいる。
2016/09/17
同じルーキーの今永が絶賛する戸柱の長所
いずれにせよラミレス監督の絶大な信頼は揺るがずCS争いの舵取りを任されているわけだが、戸柱もまたラミレス監督に救われたという。春先の出来事を戸柱は振り返る。
「アマの時代はこんな連戦を経験したことなかったので、4月あたりは慣れるのに必死でした。あのときはチームも勝てず、自分の成績も全然ダメで、結構つらかったんですよ。けどラミレス監督が積極的にコミュニケーションをとってくれて、いつも『ダイジョウブ。ダイジョウブ』と声をかけてくれました。あのラミレス監督とのコミュニケーションがなかったら、今ごろは一軍でやれていなかったかもしれません。ガタガタっといってしまい、今のように上でプレーできるレベルにはなっていなかったかもしれない」
さて、戸柱が他のキャッチャーより優れていると言われるのが“ピッチ・フレーミング”である。ストライクかボールかきわどい判定に影響を与える捕球技術であるが、ピッチャーからの視点だと果たしてどのように感じられるのか。駒沢大学の後輩で同じくルーキーの今永昇太は、戸柱のキャッチングについて次のように語る。
「低めにボールがいってしまったり、またベースから外れてしまったなと思ったときも、審判がストライクをコールすることが多いのですごく助けてもらっています。自分の中でボールと思っていた球がストライクと言われると気分的に楽になります」
カウント有利になるというのはもちろんだが、ピッチャーを“乗せる”という意味においてもピッチ・フレーミングは重要な意味を持っているようだ。
戸柱いわく大学・社会人を通してキャッチングは「ヘタクソだった」と言う。
「あの頃はストライクをボールと判定されてしまうようなキャッチングをしていたんです。あるとき先輩からヘタ過ぎると言われて、僕は負けず嫌いなのでそれから毎日ピッチングマシーンを相手にキャッチングの練習をしたんです。当時のコーチからもキャッチングが良くなれば、配球も良くなるしキャッチャーとして成長するからと言われ、その言葉を信じてずっとやってきました」
光山コーチは戸柱のキャッチングについて次のように語る。
「うまいほうだとは思いますよ。けど、まだまだ改良の余地はあります。ただ今はシーズン後半なので手はつけませんけどね」
正捕手となった戸柱の働きに光山コーチは「よくやっている」と、シーズン前と変わらぬ評価をくだしている。改めて、この半年以上見てきた戸柱の特異な部分とはどこなのか?
「不思議とピッチャーを引っ張る力があるんですよ。盗塁阻止率が悪かったり、後逸があったりするんですけど、それでもゲームで使おうと思わせるような雰囲気や安心感が戸柱にはある。例えば本人がミスをしたとしても、そのあとの仕草が落ち着いていて、ピンチであっても切り抜けることができる。つまり立ち振る舞いがいいんです。じつはキャッチャーにとってそこはすごく大事な要素。なにせ守備中はチーム全員が戸柱を見ているわけですからね」