DeNA・山﨑&須田、想いを込めた最終マウンド――CS進出の立役者2人が見据える、来季への希望
CSに初めて進出したDeNAの戦いはファイナルに進んだものの、日本シリーズをかけたステージでは、1勝3敗と完敗した。その最終戦、敗色濃厚ながら、最後の輝きを解き放ったのがブルペンを担う山﨑康晃と須田幸太だった。ともに、レギュラーシーズンをいい形で締めくくることができなかった彼らが見せた未来への希望とは。
2016/11/16
田中広輔を睨みつけた山﨑にみた意地
ペナントレースを思うとすでに遠い昔のことのように感じられるが、横浜DeNAベイスターズにとって今年はエポックメイキングなシーズンだったといっていいだろう。
11年ぶりのAクラス、そして初のクライマックスシリーズ(以下CS)へ進出。DeNA体制になって5年目、アレックス・ラミレス監督のもとでチームとしてようやく目に見える成果を得ることができた。
初のCSは数多くのファンにとってエキサイティングな日々になったことだろう。東京ドームのレフトスタンドからバックネット裏までを横浜ブルーで染め上げたと思えば、セリーグ王者の広島東洋カープには完膚なきまで叩きのめされた。
忘れられない、あの表情――私事で大変恐縮だが、CSでもっとも心に残ったシーンを目撃したのは10月15日のファイナルシリーズ最終戦の8回裏だった。負ければCS敗退が決まる1点ビハインドの場面でマウンドに上がったのは守護神の山﨑康晃。
最初の打者は田中広輔。ここまでファイナルシリーズ4試合で11打数10安打に加え5四球と、DeNAのピッチャーは田中ひとりにやられていたといっても過言ではない。
注目したのは、このときの山﨑の表情だ。言葉は悪いが田中に対し、これでもかというぐらいに睨みつけ、メンチを切っていた。普段は柔和で優しい男だが、マウンドに上がれば生来の勝気な鼻っ柱をむき出しにする。
メラメラと燃えあがる戦う男の情念――この日は普段よりも山﨑の好戦的な気持ちが前面に出ているようだった。
結果は、オールストレートの3球三振。思いきって放たれたボールにはDeNAのピッチャーたちの想いが込められていた。
「そりゃ気合い入りましたよ!」と、この話を振ると山﨑は、マウンド上とは打って変わり笑顔で答えてくれた。
「(田中選手には)皆ことごとく打たれていたわけですし、ここは僕が抑えなければいけないって思いで一杯でしたよ。僕自身それまで不甲斐ないピッチングが続いていたし、あの場面で三振が取れたことでリズムもでき、自分としては良い締めくくりができたかなって。目標としていたCSに出場することができてチームとして良かったし、来年へ繋げることができました。本当CSを経験できて良かった。まあ最終的には勝ち切れなかったという事実は残ったので、来年は僕たちが日本シリーズへ行きたいと思います」