阪神の「超変革」は着実に進行中。来季は真価を問われる1年に【2016年通信簿】
セリーグ3位ながら借金1でシーズンを終えた2015年限りで和田豊監督が辞任し、新たに金本知憲が監督に就任した今季の阪神タイガース。チームスローガンに「超変革」を掲げ、心機一転のシーズンとなるはずだったが、交流戦で借金生活に突入。結局、6月5日以降はシーズン終了まで一度も勝率5割に到達することなく、64勝76敗3分、4位の結果に終わった。 積極的な若手の起用など、チームの将来を見据えた確かなビジョンは垣間見えたが「育成と勝利」の両立とまではいかず……。 金本政権1年目は、光明と課題、その両方がくっきりと浮き彫りになったシーズンだった。
2016/12/26
数字は上位も、「絶対的選手」不在が響く
投手 4点
チーム防御率3.38はリーグ2位、被安打1139、被本塁打100、奪三振1166は同1位と、スタッツだけを見るとリーグ随一の投手陣だったことが分かる。それでも勝てなかったのは投打の歯車がかみ合わなかったこと、さらには投手陣に「絶対的存在」がいなかったことが大きい。
高卒1年目から3年連続2ケタ勝利を記録し、名実ともにエースとなった藤浪晋太郎はプロ4年目にして初めて壁にぶち当たり、7勝11敗、防御率3.25と不本意な成績に終わった。藤浪以外の先発陣も、試合は作るが「勝ち切る」まではいかず、貯金を作れたのはランディ・メッセンジャー(12勝11敗)、岩貞祐太(10勝9敗)の2人のみ。それも、ともに貯金わずか1ずつと、「エース不在」が最後まで響いてしまった。
リリーフ陣も同様だ。救援防御率3.29は広島に次ぐリーグ2位だったが、昨季限りで退団してメジャーに移籍したクローザー・呉昇桓の抜けた穴を埋めることができず、ベンチは継投のやりくりに苦心した。
今季は新外国人のマルコス・マテオがその役を担い、1勝3敗20セーブ、防御率1.80とそれなりの成績を残したが、5月15日から5試合連続で失点を喫して再調整のために登録を抹消されるなど、2015年まで2年連続セーブ王に輝いた前任者ほどの安定感はなかった。
とはいえ、先発ローテ入りした3年目の岩貞をはじめ、松田遼馬、青柳晃洋、島本浩也、望月惇志など若い投手たちも台頭。ここに本来の実力を発揮した藤浪が加わり、クローザーが固定されれば、来季はさらなる飛躍も期待できるだろう。