NPBはMLBよりなぜ長い? 試合時間短縮は、若者離れを食い止める有効策に
MLBは今季新コミッショナーの元で具体的な試合時間短縮に乗り出す。そこにある狙いとは何か。この動きは、野球をオリンピック競技に復活させるためにも、大きな意味を持つのではないだろうか。NPBにもこれまで以上に、時短への取り組みが期待される。
2015/03/28
なぜ、NPBの試合時間は長いのか?
一方でNPBはどうだろう? 2014年のMLBの平均試合時間は3時間7分だったのに対し、NPBは3時間22分である。これだけの差が開いている。NPBの熊崎勝彦コミッショナーは試合時間短縮の具体策などを検討する「ゲームオペレーション委員会」を立ち上げており、コミッショナー宣言を行った。
NPBの公式サイトによれば、2015年シーズンは、現在の「野球規則」、セ、パ両リーグ「アグリーメント(PACE OF THE GAME:2011年3月1日実行委員会承認)」をさらに周知徹底させることや、 セパ両リーグ共通ルールのロッカールーム等への掲出を行う。また来季に向けて、さらなる施策を検討、実施していく。
アグリーメントの内容としては、イニングインターバルは2分15秒以内にプレー再開。またイニング間の投手交代やイニング途中の投手交代通告から2分45秒以内にプレー再開をする。また無走者時は15秒ルールを守るなど、試合のスピードアップを目指すことを目的としている。
ところで両リーグとも平均時間が年々長くなってきているが、NPBのほうがMLBよりも試合時間が長いのはなぜだろう? 私が外国人選手の通訳をしている時に、実際に外国人選手が言っていた言葉を紹介したい。
「一球一球の間合いが日本のほうが圧倒的に長い」「ピッチャー交代の時にノソノソとマウンドに向かう」「足場を固めるなど、バッターがバッターボックスでイチイチ余計な動きをしている」
こうした意見を聞くことが多かった。
一球一球の間合いの長さは、松坂大輔がメジャーに行った時に実際に指摘されている。公認野球規則の8・04には「塁にランナーがいないとき、ピッチャーはボールを受けた後12秒以内にバッターに投球しなければならない。12秒の計測は、ピッチャーがボールを所持し、バッターがバッタースボックスに入り、ピッチャーに面したときから始まり、ボールがピッチャーの手から離れたときに終わる」というものがあるが、これで、罰せられているピッチャーはいないのではないか。
確かに、バッターもピッチャーも自分の間合いというものがあるのかもしれない。ただ、それを意識するあまり、試合時間が間延びして、試合の価値が下がっていくのであれば、本末転倒であろう。審判にも問題があるかもしれない。審判もエンターテインメントを創り出している一部であると認識し、上記のルールを徹底していくことも必要かもしれない。
試合時間に関連して、ベースボールと野球の違いに関するエピソードを二つ紹介したい。これも私が外国人選手の通訳をやっていた時の話である。
ミーティングで、あるコーチが「このバッターに対しては(初球)ボールから入ってもいいのではないか」というコメントをしたが、それに対して、外国人選手は冷たい反応を示していた。
「何でわざわざ自分が不利になることをするんだ。メジャーでは初球ストライクを取る事は鉄則だ」と。
二つ目は、ブレーブスを中心に活躍し、17年連続15勝以上という偉業を成し遂げた、グレッグ・マダックス選手の言葉を紹介したい。あるインタビューで、「あなたの夢は何ですか?」と聞かれ「27球で試合を終わらせることです」と答えていた。
野球とベースボールの違いが試合時間の違いとなって表れているのかもしれない。