遅咲きの和田一浩、2000本安打達成 次に迫るは史上3人目の「両リーグ1000本安打」【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、11日の千葉ロッテ戦で2000本安打を達成した中日・和田一浩についてだ。
2015/06/12
超遅咲きの打者として達成した大記録
昨日11日、千葉ロッテ戦(QVCマリン)で中日の和田一浩が45人目、史上最年長で2000本安打を達成した。
NPBの1軍公式戦に出場した選手は6000人を超えるが、このうち0.8%しか達成していない偉業だ。
和田は、いろいろな意味で「記録男」である。この機会に改めて確かめておきたい。
まず、和田はNPB史上屈指の「右打者」である。
野球では左打者は右打者よりも少しだけ有利だと言われる。一塁への距離が短い上に、一般的に左打者にとって有利と言われる右投手の方が多いからだ。
事実NPBの公式サイトに掲載されている4000打数以上の打者の終身打率のランキングは、1位のリー(.320)、2位の張本勲(.31918)、3位の若松勉(.31915)まで左打者だ。右打者のトップは、4位のブーマー(.317)になっている。
4000打数以上の右打者で終身打率が3割を超えた打者をまとめた。
過去に11人おり、和田は.303で8位だが、2000本安打達成者としては落合博満、長嶋茂雄に次いで3位。打数が大きくなるほど打率を維持するのは難しくなるが、これだけキャリアを積み重ねて3割をキープしているのは、和田が並々ならぬ好打者であることを意味している。
次に和田は、超遅咲きの打者である。そもそもプロ入りしたのは高校、大学、社会人を経た25歳の年だった。入団当時は捕手だったが、伊東勤など先輩捕手とのポジション争いを経て外野手に転向したのが29歳。そして打者として1人前とされる規定打席に初めて、到達したのは30歳を迎えるシーズンだった。
2000本安打達成者が初めて規定打席に到達した年齢をまとめた。
東北福祉大の先輩である金本知憲の27歳を大きく上回る30歳。
張本や清原和博などが高卒1年目で規定打席に到達していることを考えれば、和田の本格スタートは非常に遅かったことがわかる。
30歳で初めて打撃ランキングに載ったときには、恐らく、本人も2000本安打を打つとは思っていなかったのではないか。
和田は30代通算で1470安打を打ち打率.310をマークした。並みの選手ならキャリアの最終コーナーにさしかかる36歳で中日にFA移籍し、リーグが変わっても38歳でMVPに輝くなど、好成績を出し続けた。そして40歳を超えても全く衰えを見せなかった。