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秀岳館が今年も高校野球の常識を覆す。名物監督が構想する“プロ仕様”の継投策【第89回センバツ】

元NHK解説者と異例の経歴を持つ鍛治舍巧監督率いる秀岳館高校。今年はプロ野球の短期決戦で適用させるような起用法で「投手力」を使って挑んでいく。

2017/03/22

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鍛治舍監督が打ち出した“夢プラン”

 注目度は高まる一方だ。甲子園に登場するたびに、グローバル企業専務役員から“華麗なる転身”を遂げた鍛治舍巧監督が多くの話題を振りまいてくれる秀岳館。
 
 昨年は正月返上で宮崎キャンプを断行し、新年早々大きな注目を集めた。さらに春夏の甲子園では全試合で異なる継投を繰り広げ、打者が不利なカウントから転ずるノーステップ打法は、その後の高校野球界に広く浸透するトレンドともなった。初出場と言っていいほど甲子園から遠ざかっていたチームが、後にプロ入りを果たす九鬼隆平捕手(ソフトバンク)や松尾大河内野手(DeNA)ら巨大戦力を擁して春夏いずれもベスト4に進出。瞬時のうちに「出場即優勝候補」と目される地位を固めてしまったのだから恐れ入る。
 
 今年3月初旬には鍛治舍監督の退任情報が世間を賑わせたが、翌日にはこの騒動もすぐに鎮火。「準決勝の壁」を打ち破るべく、いよいよチームの視線は甲子園一本に集中したわけである。
 
 異彩を放ち続ける秀岳館と鍛治舍監督だが、今季も壮大な構想を練っているという。鍛治舍監督によると、準備している次の弾は「新しい継投の形」らしい。
 
「1試合の中で複数の投手を繋ぐのが継投。しかし、大会という大きな枠の中で複数の投手を繋いでいくやり方もあっていいと思う」
 
 思わず「?」と首を傾げたくなる言い草だが、その真意を問いただすうち、鍛治舍監督の説得力に飲まれて思わず心が躍ってしまった。こうした言葉による“煽り”の上手さは、さすがに元NHK解説者といったところか。いやいや、そもそもの構想が壮大すぎて「ちょっと見てみたいかも」と思わざるを得ないのだ。
 
「たとえば4枚の投手を用意して、ひとりに1試合を任せます。つまり、準決勝まではすべて先発完投でいき、最後(決勝)に全投手を注ぎ込むのです」
 
 先発投手はローテーションで回し、最終決戦に総力戦を仕掛ける。つまり、プロ野球の日本シリーズなどで見られる投手起用法である。「ウチの投手陣はみんな先発完投能力があるので大丈夫ですよ」と自信に満ちた表情で言い放った鍛治舍監督だが、果たして構想は現実のものとなるのか?

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