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全米屈指のスカウトリーグで健闘したもう一つの侍ジャパン。日本人らしさとチーム力で勝ち取った準優勝

カリフォルニア州・パームスプリングスで1カ月間に渡って行われていた全米屈指のスカウトリーグとして知られるカリフォルニア・ウィンターリーグ(以後、CWL)が3月3日(日本時間4日)、閉幕した。

2019/03/04

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角谷剛



米国人観客に示した日本野球

 そうしたこともあって、ブルーソックスは、リーグ開幕直後は苦しい戦いを余儀なくされ、前半の10試合では2勝5敗3引き分けと大きく負け越していた。チームの調子が上向きに転じたのはリーグも後半戦に入ってからだ。プレーオフの4試合も含めた後半戦10試合では6勝3敗1引き分けと大きく盛り返し、通算の勝率も5割に戻した。
 
 チームを率いた安田裕希監督に後半戦の快進撃の原因を尋ねると、何か特別なきっかけがあったわけではないと言う。日本の寒い地域から来た選手がカリフォルニアの気候に慣れてきたせいかもしれないし、長く実戦から離れていた選手が試合勘を取り戻してきたこともあるだろう。
 
 米国独立リーグでの経験が長い安田監督は、試合でも練習でも選手に細かい指示を出すことはあまりない。それよりむしろ選手の自主性を重んじるタイプだ。選手達が動きやすい雰囲気を作っていき、日本人らしさを忘れずに自分達の野球をしようと声をかけたぐらいだとも安田監督は語ってくれた。
 
 スタンドから見ていても、試合を重ねていくうちに選手達の表情から戸惑いが消えていき、どんどん動きが良くなっていくのが明らかだった。守備練習では掛け声ともヤジとも言えない大声が飛び交い、選手達自身が”Japanese Way”(日本式)と笑いあう姿も見られるようになった。体格で劣る日本人選手たちの生き生きとしたハッスルプレーは、リーグ関係者や地元の観客にも好意的に受け入れられた。決勝戦では米国対日本の構図であったにもかかわらず、スタンドからの声援はブルーソックスへも相手チームと同程度だった。
 
 スカウトリーグであるCWLは選手の発掘が主な目的なので、チームの勝敗はさほど重くはとられない。だが序盤の劣勢をはねのけたブルーソックスの健闘は、チームが勝利に向かって団結することこそベースボールの本来の姿なのだということを米国人観客に示したと言える。
 
 1カ月に渡ったリーグ戦が終わり、試合後は名残惜しそうにグラウンドを立ち去る選手達の姿があちこちで見られた。ある者はグラウンドに一礼し、またある者はじっと立ちつくしていた。同じメンバーでチームを組むことは二度とないだろう。帰国した後はそれぞれがそれぞれの場所でプロ野球選手への夢を追いかけることになる。選手達全員の幸運を祈りたい。
 
 
角谷剛

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