【甲子園決勝速報】履正社、屈辱を“糧”に悲願の初V 選抜で17K完封負け「奥川君にチームを大きくしてもらった」
2019/08/22
逆転3ランの4番・井上広大も右腕を称賛「素晴らしかった」
<第14日(最終日)決勝戦 ○履正社 5―3 星稜●>(22日、阪神甲子園球場)
第101回全国高校野球選手権大会は20日に14日目を迎え、履正社(大阪)が星稜(石川)との初優勝を懸けた決勝戦で勝利し、春夏通じて悲願の頂点に立った。
試合後、涙が溢れた目を真っ赤にした履正社の岡田龍生監督。グラウンド行われたインタビューでは「子どもたちが本当に良くやってくれた」と選手たちの奮闘ぶりを労った。
今大会次々と強豪校の好投手を攻略してきた打線は、最速154キロを誇る星稜・奥川恭伸(3年)をも飲み込んだ。1点を先制された後の3回、2死走者なしから連続四球で一、二塁のチャンスを作り、4番の井上広大(3年)が初球のスライダーを捉え中堅バックスクリーンへ大会第48号の逆転3ラン本塁打。球場の空気を一変させた。
“超高校級”の投手相手に、主砲の意地を見せた井上。指揮官の「ボール球を捨てる」という教えを胸に、甘く入った球を見逃さなかった。それでも、井上は奥川を「素晴らしかった」と称賛している。
終盤7回にはエースの清水大成(3年)がピンチで2本の適時打を浴び、3-3の同点に。それでも、直後の攻撃で奥川に食らい付いて2本の適時打をお返しして勝ち越した。終盤にもつれ込んだ激闘に、井上は「お互いに全力を出し切った結果、自分たちが勝っただけ。嬉しい」と相手の強さを認めながら、その上で勝ち取った栄冠に胸を張った。
今大会は初戦の霞ヶ浦(茨城)戦で17安打11得点。これをはじめとして、2回戦の津田学園(三重)戦で12安打7得点、3回戦の高岡商(富山)戦で14安打9得点、準々決勝の関東一(東東京)戦では10安打7得点、「近畿対決」となった準決勝の明石商(兵庫)戦では13安打7得点。と猛打が爆発。そしてこの日の決勝でも11安打5得点で、全6戦で2桁安打をマークした。
「糧」になったは今春の選抜大会。1回戦で星稜と対戦し、奥川に対して17奪三振を喫して完封負けするという屈辱。そして夏へ向けて、徹底的に打力を磨いてきた。岡田監督は「奥川君にチームを大きくしてもらった」と相手エースに向けて感謝の言葉を口にし、「3月(選抜)に負けてから、何とか奥川君レベルのピッチャーを打てるように練習してきた成果を出してくれた」と語った。
今もプロ野球で活躍する、T-岡田外野手(本名:岡田貴弘、オリックス・バファローズ)、山田哲人内野手(東京ヤクルトスワローズ)なども成し得なかった初優勝。令和元年の年にその悲願が叶った。主将の野口海音(3年)は「日本一を目指してやってきた。目指してきたことがしっかりできて良かった」と揺るがない意志の結実に歓喜のコメント。
大阪勢としては昨年の大阪桐蔭に続いて2連覇となったが、「強豪・大阪」のプライドを再び頂点に掲げた履正社の優勝に、多くの観衆が温かい拍手を送っていた。
取材 ・氏原英明、文・ベースボールチャンネル編集部