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「日本人は自分たちで余白を消していく」。ドミニカアカデミー指導者が語る“真の”選手ファーストとは【ドミニカ野球奮闘記#5】

2019/12/16

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高橋康光



 育成年代の指導法について、アメリカやドミニカ流の手法を安易に持ち上げる風潮があることに藤田直人さん(25歳)は違和感を覚えている。約4年、ドミニカ共和国で生活し、同地で指導を行っている元甲子園球児・藤田さんがリアルなドミニカの育成法や指導の現状を語ってくれた。

日本の方が面倒見はいい

「よくこちらの指導法は“選手ファースト”“個性を伸ばす”などと形容されます。確かにそう言えば聞こえはいいですが、そんな単純なものではありません。ドミニカでの選手育成や指導法はドミニカの社会背景、ドミニカ人の国民性といったものと切り離せません。
 
ドミニカの選手育成を語る上で“お金”の問題は非常に大きいです。才能のある子には12歳~13歳くらいでお金が動き始めます。MLBアカデミーへの選手輩出実績のあるプログラムは施設も充実していますし、いい選手を集めるためのプログラム間の移籍も活発です。
 
なので、指導者にとって選手は大事な商品であり、ケガをされては困るのです。ですから、“怒らない”“投げさせない”というと選手を大事にしているようなイメージを持たせますが、実際には愛情ありきというより、自分たちの金のなる木を守るといったシビアな発想が根底にあります。
 
そして、金になりそうな子には指導も手厚くなりますが、それ以外の子は扱いが全く違います。早くして才能を見極められるため、日本の様に大学や社会人になって才能が開花するというケースはまずありません。そういう意味では日本の方が面倒見はいいと思います。

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