【MLB】守備に衰えなし――限られた守備機会でタイトルに匹敵する数字を残したイチロー
10日、MLBのゴールドグラブ賞が発表となった。
2015/11/23
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来季もレフトがメインになるか?
大リーグにおいては大手記録サイト・ファングラフの算出が代表的で、全30球団の選手の平均数値は0となるように調整される。まずい守備を繰り返せばどんどんマイナスになっていくわけだ。
イチローの8.6は、自身の数字と比較しても02年の8.0、05年の5.0、08年の2.8、初めてゴールドグラブ賞を逃した11年の-4.4を上回る。なお01年はUZRが提唱された年で数字が残っていない。
自己ベストは03年の21.1。翌04年が20.4で、06年の17.1、10年の14.1と続く。
またUZRは率ではなく量で表される指標のため、出場試合数が少ない選手ほど不利になる弱点がある。それを是正するために150試合あたりのUZRを求めるUZR/150があるが、こちらでは17.9に跳ね上がる。
自身のシーズン別UZR/150で比較すると、歴代4位にランクインする堂々たる数字だ。
今季の打率.229、11盗塁はいずれも自己ワーストに沈んだ。イチロー自身が口にすることはなくても、42歳という年輪を重ねての衰えは否めない。ただ、その中でも守備だけは往年の輝きと遜色ないレベルを保ち続けている。
ちなみにイチローの今季左翼でのUZRは1.1、中堅では-2.0だった。長年守り続けてきた右翼とは顕著な差が出ている。求められる役割は外野3ポジションで主力の穴を埋めることだが、やはり右翼こそが「エリア51」と断言できる。
マーリンズの正右翼手はジャンカルロ・スタントン。今季は左手骨折で長期離脱したが、ケガさえなければ不動の存在だ。
毎日、同じポジションを守り続ければ、失われやすい試合勘や反応はますます向上する。実現は難しい。でもやはり、右翼で毎日躍動する背番号51が見たい。