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歩く姿から見て取れる、大谷翔平の「軸」。一流の打撃を可能にする内転筋軸の働き

2022/10/12

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内転筋軸の働き

 もう直感的にお分かりだと思いますが、これが内転筋軸の働きです。内転筋軸があるから、このようなパフォーマンスが可能になるのです。普通であれば右脚をそんなに寄せることはできません。無理やり右脚をキャッチャー方向に寄せれば、左脚が外側に割れて、足裏の小指側、腓骨側に体重が乗ってきてしまいます。しかしそれでは、せっかく右脚をキャッチャー方向に寄せてもほとんど意味がなくなってしまうのです。軸がそもそも崩れてしまっている状態だからです。いま説明したように骨盤から下半身全般に対しての筋肉づかいがまったく間違っているので、軸が下半身を中心に通っていかないのです。バッティングに関わらず、立位のスポーツで下半身からの軸がダメになり、軸が分解してしまえば、その後の全身のパフォーマンスがダメになることは、もう目に見えています。
 
 野球では、まずそのことによって上半身のポジションが決まらなくなります。軸がダメになってくると、ボールも見えなくなってきます。つまり、選球眼も悪くなるということです。同時にメンタルもダメになります。メジャーリーグであれば、相手のピッチャーも一流ですから、その優れたピッチング技術に対して、どのように対応するかという戦術、またそれに合わせた心のメンタルコントロール、そういったものが全部壊れてきてしまうのです。
 
 実際にいよいよボールが来たというときにどうなるかというと、左の下半身が外側に割れて体重が腓骨の外側に乗っていますから、一番最初に筋出力するべき筋肉群と骨格が左の外側に残ってしまっているので、ピッチャー方向に対し、右に向かう初動がきわめて遅くなります。いくら頭ではいくぞというふうに指令が出ていても、左側に筋肉と骨格が残ってしまっている分だけ身体の反応が遅くなってしまうのです。
 

 
この遅さは、一流のスポーツの勝負においては致命的です。バッティング全体のスピードが遅くなりますから、早くから動き出さなくてはいけなくなります。早くから動き出せば、当然のことながらボールを引きつけて、ストレートか変化球かの球種を見きわめつつ、ボールが来るコースやタイミングなどに対応するための時間が取れなくなります。ボールをよく見ることができずに、また球種を判断することができないうちにバットを振り出さなくてはいけなくなってしまうということです。これがボールを引きつけることができないということの実状です。
 
 また、左の膝が開いていると、ピッチャーが投げたボールに対して役に立つ右脚のキャッチャー方向への引きつけが、すぐに開放されてしまいます。まったく役立たないタイミングで開放されてしまうわけです。そして左の脚の外側にあった骨格と筋肉がバラバラの状態になってしまう。これをもって最悪と言うのは、これよりももっと低いレベルの選手たちがアマチュアの世界にはいくらでもいるわけですから、メジャーリーグにおける優劣についての話だと思ってお聞きください。
 
 実は、左脚と右脚がどちらも軸に向かってスーッと、あるいはキューッと寄り添うような働きをさせるのが内転筋軸です。
 
高岡英夫

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(目次)
導入編 「内転筋軸」に見る、超一流アスリートの共通点
基本編 Lesson1 内転筋軸の帝王「猛獣スクワット」
基本編 Lesson2-1 肩・肩甲骨の強化
基本編 Lesson2-2 股関節・仙骨の強化
基本編 Lesson3-1 軸・背骨の強化
基本編 Lesson3-2 足裏中心の強化
発展編 第一法 踵内踝回擦立法
発展編 第二法 横臥内転筋軸吊脚法・吊体幹法
 

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一流アスリートは「内転筋軸」を鍛えることで最高のパフォーマンスを発揮している!
 
「内転筋軸」と言われると「それは一体何だろう?」と思う人も多いと思います。
内転筋は両脚の内側にある筋肉群で、長内転筋や短内転筋、大内転筋など数種類の筋肉で構成されています。内転筋は両脚の内側の筋肉ですから、軸をつくるために非常に重要な働きをする筋肉群なのです。
 
今回の書籍を出版できたのも、昨年に背骨をテーマにした書籍『背骨が通れば、パフォーマンスが上がる! 』を出版し、その前提として股関節をテーマにした『キレッキレ股関節でパフォーマンスは上がる! 』を出版し、そしてさらにその前提として肩甲骨をテーマにした『肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる! 』を出版するというように、これまでに発表した書籍の蓄積があってはじめてできたことです。
 
本書で取り上げる内転筋軸に関わる筋肉は、内転筋とその拮抗筋である外旋筋群になります。そして「内転筋および内転筋軸」がスポーツのパフォーマンスにおいてなぜ重要なのか、その解説をするとともに具体的なトレーニングも紹介します。
 
皆さんも「内転筋軸って具体的にどんな働きをするのだろう?」と、すごい興味が湧いてきたのではないでしょうか。それでは、実際に内転筋軸が働く姿を見ていきましょう。
 
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