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【MLB】アメリカに吹き荒れるトランプ旋風は野球界にも影響? 支援者の一人は外国人選手の排除に言及

 アメリカ合衆国大統領選へ出馬中のドナルド・トランプ氏が自身の集会でピート・ローズの殿堂入りに関して言及。先週はトランプ氏の著名な支援者が「外国人野球選手へのビザ発行停止」を主張するなど、トランプ旋風は野球界にも影響を及ぼしかねない勢いだ。

2016/03/16

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支援者の一人は、ベースボールから外国人選手の排除を希望

 先週金曜日には、トランプ氏の熱狂的な支援者である著名な女性保守活動家フィリス・シュラフリー氏が、「外国籍の野球選手に対するビザの発行を停止し、我々の国民的娯楽をアメリカの手に取り戻すべきだ」と発言。『The Washington Post』紙の電子版が、「91歳のトランプ支援者は、ベースボールから外国人選手を排除することを望んでいる」と報じ、大きな話題となった。
 
 シュラフリー氏は、現在の球界で最高の選手がアメリカ国籍であること、昨シーズンの主要タイトル獲得者が全てアメリカ生まれの選手であることなどを挙げたうえで、「今や球界の1/4は外国人選手で占められている。彼らの多くは英語も話せなければ、アメリカのリトルリーグシステムを経験してもいない。こうした選手たちによって本来アメリカ人選手たちがプレーするはずのポジションが奪われている」と主張した。
 
 同氏は、子どもたちの野球離れについても外国人選手が原因だとしている。
 
“This foreign influx into our National Pastime may help explain why our youth is abandoning baseball. Youth who play baseball have declined by more than 40 percent since 2000, and some communities where baseball was once booming now struggle to fill teams. Television ratings for World Series games are less than half what they were three decades ago.”
「こうしたベースボールへの外国人選手の流入は、アメリカの子どもたちが野球を断念する一因でもあるはずだ。ベースボールをプレーする子どもの数は2000年と比べて40%以上も減ってしまった。以前は野球が盛況だった地域のチームでも今は人数を集めるのにすら苦労しているありさまだ。ワールドシリーズの視聴率も30年前と比べて半分になってしまった」
 
 現在のMLBを代表するプレイヤー、マイク・トラウトやブライス・ハーパー、クレイトン・カーショウらはアメリカ出身だ。
 
 しかし21世紀以降だけを見ても、アルバート・プホルスやペドロ・マルティネス(共にドミニカ共和国出身)や、マリアーノ・リベラ(パナマ)、ミゲール・カブレラ(ベネズエラ)、そしてイチロー(日本出身)らベースボールの顔として相応しいだけの活躍を見せた外国人選手は数多い。『The Washington Post』もシェラフリー氏の意見に対し、強く反対の意を示している。
 
 ピート・ローズの殿堂入り(永久追放処分の撤回)や外国人選手に対するビザの停止が実施されるとは、現段階では考えづらい。しかしトランプ旋風の勢力が拡大していけば、アメリカの国民的娯楽であるベースボールにも、大きな影響を及ぼしかねない。
 
 
出典:Donald Trump: “We’ve got to let Pete Rose into the Hall of Fame” by Bill Baer in NBC Sports on Mar.13 2016
This 91-year-old Trump supporter wants to rid baseball of foreigners Jake Russell in The Washington Post on Mar.12 2016

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