【MLB】異常気象に苦戦、直球を捨てたヤンキース田中。エースは「寒さ」を克服できるか
2年連続開幕投手を務めたヤンキース・田中将大に勝ち負けは付かず。天候に苦しみながら最低限の仕事を果たした。
2016/04/07
Getty Images
1年前の苦い記憶
辛口な地元メディアも、総じて評価は悪くなかった。3回まではパーフェクト。昨季課題とされた被本塁打が、また大事な場面で出てしまったが、クオリティースタート(6回以上を投げ、自責点3点以下)にはあとアウト1つだった。「田中はオープン戦に比べれば、ローテーショントップにふさわしい投球をみせた」(ニューヨーク・デーリーニューズ紙)。「あの本塁打(6回にコリアに同点ソロを被弾)がなければ、素晴らしい投球だった」(ニューヨーク・サンタイムズ紙)。
もっとも「寒さ」というのはタフなメジャーで勝ち抜くために克服しなければいけない条件の一つだ。
必勝が求められるポストシーズンでは、終盤に進めば進むほど平均気温は下がっていく。ニューヨークも、他の北寄りの都市でも、ワールドシリーズ中に降雪が見られることもある。
田中の次回登板は、中4日となる10日の敵地でのタイガース戦が有力。現時点での予想気温は3度と、開幕戦と大差ない。
思い出されるのは1年前。4月23日の敵地でのタイガース戦は気温1度と冷え込み、中4日で登板した田中は6回1/3を3安打1失点の熱投でチームを3連勝に導いた。
ところが極寒での無理が響いたのか。直後の28日には右手首の腱鞘炎と右前腕の張りを訴え長期離脱が決まってしまった。
楽天時代から仙台を本拠地とし、高校も北海道の駒大苫小牧で過ごした。寒さには慣れていたはずだが、当時よりも田中の右肘靱帯にはダメージが蓄積されている。そして広大な北米大陸で体験する寒さも、想像以上の過酷さだった。
「エースというものを強く意識していきます」。3年目のシーズンへ向け、田中は何度もそう繰り返してきた。寒さが確実に立ちふさがる「10月の野球」を勝ち抜くために。真のエースへの階段を上るため、さらなる引き出しが田中に求められていく。