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フォーシームは1球種ではない…?MLBで進化する”ピッチング革命”。スイーパーは終焉か【MLB】

2024/07/02

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(左から)今永昇太、グラスノー

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 「なんでもデータで決める」というフレーズが冗談ではなくなったMLBでは投球分析が毎年進化を続けている。各チームはデータ解析ツール『スタットキャスト』などバイオメカニクスのデータを用いて自前の投手モデルを構築し投手育成につなげていると考えられる。このような投球分析において重視されるのはどのような点か、紹介していきたい。

 

 

 

“多種多様“なフォーシームの形

 昨今は誰でもダウンロードができる『スタットキャスト』のスプレッドシートには球種、球速、投球箇所などの基本的なデータの他に変化量、スピン量、スピン軸の角度、ある点での球の成分別加速度など、非常に細かいデータが揃っている。まずはメジャーで主流とされるフォーシームについて分析してみた。
 
 速球、特にフォーシームを扱う際にキーとなるのが「縦変化量(ホップ)」と「リリース高」だ。現在のメジャーにおけるフォーシーム戦略の主流は「打者が向かってくるフォーシームをどれだけフラットと見てくれるか」にある。
 
 フライボール革命によってアッパースイング打者が大多数を占めるメジャーにおいて、縦変化量で浮き上がるボールを投げる、あるいはリリース高を下げ、ボールが浮き上がるように見せることはボールのフラット具合に大きく影響を及ぼす。
 
フォーシームの形、変化量
 
 ここではフォーシームを大きくホップ大/ホップ小に分けて見ていく。ホップ量が大きいフォーシームを持つ投手は比較的容易にフォーシームで空振りを奪うことができる。
 
 高いホップ量によって打者にはフォーシームが浮き上がるように見えるためだ。ニック・ピヴェッタ、タイラー・アンダーソン、松井裕樹などが当てはまるカテゴリーで、一般的にオーバースローの投手が多い。
 
 変わってホップ量が少ない投手はボールの変化だけではフォーシームを活かすことができない。そこでリリース高を下げることによってボールを「投げ上げ」、ボールが浮き上がるように「見せる」ことができる。アームアングルを水平気味にする必要があるため、スリークォーター~サイドスローの投手が多い。
 
 一般的に「投げ上げ」を採用するとアームアングルが水平になるためボールがサイドスピンになるためホップが小さくなる。
 
 つまり「投げ上げ」と「ホップ大」は相反する関係となるのだが、一部にはユニークな投げ方により両立している投手が存在する。アレックス・ベシアや今永昇太はこれに該当し、彼らのフォーシームは非常に優秀な成績を残している。

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