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今年の大谷翔平はなぜ”特大ホームラン”を連発できる…!? データから見えた本塁打性とは…?【コラム】

2024/08/05

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圧倒的パワーゆえに打球角度は関係なし…?

 
 米分析サイト『Baseball Savant』による、今季の大谷選手の本塁打の飛距離上位5位の内容は以下のようになる。標高が高いため打球が伸びやすいクアーズ・フィールドで打った6月18日の本塁打を除き、全てドジャー・スタジアムで記録したものだ。
 

 
 打球角度は24~30°の範囲にあり、5本中4本がセンター方向への、5本中3本が左投手からの本塁打である。上位2本の飛距離は、7月28日終了時点で、MLB全体でも2024年の2位、3位タイである。
図2本塁打飛距離上位
 
 上記の本塁打に関するバットスピード(スイングの速度)やスイング軌道距離(スイングの大きさ)の数値は以下のようになる。これらのデータは検索可能なデータベース化がされていないため、MLB公式HPの記録映像の数値から引用した。5月5日の本塁打に関するデータは確認できなかった。
 
図3本塁打スイング
 
 7月28日終了時点で、大谷選手の平均バットスピードは75.8mph(時速122.0㎞)、スイング軌道距離は7.7ft(2.3m)となっている。以上の本塁打ではバットスピード、スイング軌道距離とも本人の平均より大きく、スイング内容の飛距離への影響を示している。
 
 一方、6月22日の本塁打は、打球角度の小ささが影響して、バットスピードの割に飛距離は上位2本ほどには伸びていない。
 
 では、以下の打球の飛距離はどれくらいだろうか?スイングの速度や大きさは上位だが、角度が46°と大きい。7月25日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦でタイラー・ロジャース投手から打った本塁打だ。打球速度(初速)は時速181.2㎞、スイング速度は時速131.3㎞、スイング幅は2.5mである。
図4ホームラン角度
 
 正解は360フィート(125 m)で、大谷選手の今季の本塁打では最短タイだ。スイングや打球速度は飛距離上位の本塁打に匹敵するのに、角度が変わっただけで飛距離が短くなる。
 
 逆に言えば、一般に「上がりすぎ」の角度でも本塁打にできるスイング速度があったのだ。角度がもっと大きければいわゆる「通天閣打法」になったかもしれない。

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