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MLBは「足の時代」到来の予感。驚異的な走塁を見せる若き韋駄天たち【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第23回目は、MLBの野球を変える「若き韋駄天男」についてだ。

2014/12/01

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歴史的な「走り屋」として期待されるビリー・ハミルトン

 快速選手の活躍も目立った。
 今季のMLBでの個人の「企図数/試合」ランキング。数値が3割以上かつ、100試合以上出場した選手をリストアップした。

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 20代の若い「韋駄天」が出てきているのがわかる。1位のディー・ゴードンはドジャースの先頭打者としてチームを引っ張った。
 3位には日米野球でも「小さな大選手」として話題になったホセ・アルチューベ。

 そんな中に一人、歴史的な「走り屋」になるのではないかと期待されている選手がいる。
このランキングの2位にいるビリー・ハミルトンである。

 野球史に通じた人ならその名前に見覚えがあろう。
 ビリー・ハミルトンとは19世紀に通算912盗塁と言うMLB記録を樹立した大選手。野球殿堂にも選出されている。
 19世紀のハミルトンは白人、21世紀のハミルトンは黒人だが、同姓同名の選手が、再び足で歴史を塗り替えようとしているのだ。

 とにかく、マイナーでの記録が凄まじい。キャリアSTATSは以下の通りだ。

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 2009年、レッズにドラフト2巡目で入団したハミルトンは、驚異的なペースで盗塁を量産した。
 2011年には135試合で103盗塁、2012年にはマイナーの2球団、132試合で156盗塁。これはマイナーでの新記録だった。2012年の出塁数(安打+四球+死球)は247、盗塁企図数(盗塁+盗塁死)は197だから、塁に出ればほとんど走っていたことになる。
 とにかく足が速い上に、俊敏でタッチをかいくぐるのもうまい。そして度胸もある。

 レッズの首脳陣は2013年終盤にハミルトンをMLBに昇格させてその速さを確認。
 2014年はいきなりレギュラーとして使ったのだ(中堅手)。

 盗塁王こそディー・ゴードンに譲ったがレギュラー1年目で56盗塁は素晴らしい記録。新人王投票でも2位になった。
 23盗塁死でわかるように敵捕手のマークも相当のものだったが、2年目以降、走りでチームをリードすると期待が高まっている。

 MLBは変化が激しい。スーパースターといえば「長距離打者」だったが、久々に「足のスーパースター」の時代がやってくるかもしれない。若き「韋駄天」たちから目が離せない。

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