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【MLB】田中将大の奪三振率低下に懸念も、脱スプリットで「力の衰え」にあらず

今季も田中将大はヤンキースのエースであることは間違いないが、奪三振率は低下しており相手打線を圧倒している印象は乏しい。しかし、これは投球術の変化ゆえであり、力が低下しているのではない。

2016/06/29

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三振よりも、ボールを動かしてゴロで打ち取る

 今季、ここまでの田中将大は15度の先発で10度のクオリティ・スタートを記録している。防御率も3.01と及第点だ。何よりも、ローテーションをしっかり守っている。しかし、その投球には渡米初年度の故障前のような圧倒的な印象はなく、奪三振が減っている。セイバー系シンクタンクの代表格である『ベースボール・プロスペクタス』にも寄稿するベン・ダイアモンド記者は、米スポーツ情報サイト『SBネーション』では、三振率の低下に関し興味深い考察を掲載している。

Masahiro Tanaka was a big strikeout pitcher when he broke into the league in 2014, but has since seen his Ks taper off. Could this be a sign of trouble?
2014年にメジャーに打って出た頃の田中将大は三振を次々と奪う投手だった。しかし、その後の奪三振は目に見えて減少している。これは不吉な前兆だろうか?

 三振を奪うことが投手の価値のすべてではないが、急に奪三振が減ってくると心配にもなるというものだ。

 ダイアモンド記者は、「田中は現在のメジャー有数の好投手で、間違いなくヤンキースのエース」としながらも、奪三振率(9回あたりの奪三振数)は、デビューの2014年の9.31から翌年の8.12へ、そして今年に至っては6.60まで低下していることを指摘している。

 記事では、今季の田中の投球を『ベースボール・プロスペクタス』が運営する『ブルックス・ベースボール』のデータで分析している。そして「今季の田中の速球はシンカー中心で、フォーシームは少なくなった」ことが紹介されている(シンカーも「速球」の範疇に入れるのは彼の地では一般的だ)。芯を外しゴロで打ち取ることを目的とするシンカーを多用するということは、空振りを奪える頻度が低下することを意味している。

 そして、スプリットをスイングさせた際に空振りを奪える比率が2014年の46.01%から今季は28.88%まで低くなっていることも指摘している。

 2014年、田中のスプリットよりも空振り率が高かった投手と球種の組み合わせは、ヤスメロ・ペティットのカーブ、アービン・サンタナのスライダー、そしてスティーブン・ストラスバーグのチェンジアップの3つしかなかった。しかし、今季はスプリットに限っても空振り率が田中より高い投手が7人もいるという。記事内では、田中のスプリットの球速に変化はないこと、以前ほどの落差ではないことを指摘しつつ、それでもこのことが奪三振率低下の最大の要因ではないと述べている。

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