【MLB】アメリカ高校野球、肩・肘の酷使問題対策で球数と登板間隔をルール化
短期間で膨大な球数を投げることになる甲子園は、アメリカから奇異の目で見られることも多い。ついにアメリカでは、州ごとに高校生の球数と登板間隔の制限を行うことを決定。若い才能を守るために動き出している。
2016/07/27
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NFHSの決定で何が変わる?
これまでアメリカでは、各州が独自に投球制限を設定していた。その内容は1試合につき○球までという球数に基づくものや、週に○イニング、○アウトまでというようにイニング数で制限する物まで様々だ。一方で、制限については各チームの判断任せで規則として明文化していない州もあった。
今回のNFHSの決定によって各州は、1日に○球までという球数制限と、○球投げたら○日は登板してはいけないという登板間隔の規制、2つを盛り込んだ規則を設定する必要が出てくる。
『Daily News Journal』によれば、現在同タイプの投球制限を行っているアラバマ州の規則は以下のようなものだ。
・1軍チームの投手は、1日最大120球まで。1日で76~120球を投げた投手は3日以上間をあけなければ投げることができない。また2軍チームの投手は1日に最大100球、中学生は最大85球までしか、投げてはいけない。
また米メディア『INFORUM』によると、ミネソタ州では、今回のNFHSの決定を受けて以下のような草案が製作されたという。
・105球以上投げた投手は中3日、75球以上投げた投手は中2日休まなければいけない。2年生以下の投手の場合は、85球以上投げた場合も、3日間の間隔をあける。2日連続での登板は30球までに限り、連投した投手は、3日間投げることができない。
この草案をもとに8月のワークショップで議論が行われ、10月には州の高校リーグの投票で規則が決定される見通しだ。
細かい内容は州に決定権
今回の制限では、球数制限と登板間隔について盛り込むことが指示されているものの、細かい内容については各州の判断に任されており、この柔軟性については現場からも高く評価されている。
国土の広いアメリカでは、州によって気候も大きく異なる。全国で同じルールを制定したらかえって故障者が増えることにも繋がりかねないからだ。
近年アメリカでは15歳~19歳でトミー・ジョン手術(側副靭帯再建手術)を受ける選手が増えてきている。こうした現状に対する危機感は大きく、今回の制度設定に際しても、大きな反対は見られていない。元々球数による制限を行っていなかった州では、少し時間がかかる見通しだが、来シーズンには各州の投球制限が出揃うだろう。