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MLB投球効率の良い投手は、アは田中将大、ナは超ベテラン、バートロ・コローン【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回はMLB選手の投球効率についてだ。

2016/11/28

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前田とダルビッシュの違い

 次にナリーグだ。

ナリーグ2016投球効率

 1位はイチローとともに現役最年長の43歳、誕生日でいえばMLB最高齢のニューヨーク・メッツ、バートロ・コローン。リーグでただ1人15を割っている。
 若いころは剛速球で鳴らしたコローンだが、今は、抜群の制球力とかわす投球で勝ち星を稼いでいる、1完投あたりの四球数BB9は、わずか1.50だ。

 最多勝、奪三振王のワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザーは、15.60とパワーピッチャーとしてはまずまずの数値。球の切れが良く、勝ち味が早かったことを意味している。
 奪三振率で1位だったマイアミ・マーリンズのホゼ・フェルナンデスのP/IPは16.12だった。イチローのチームメイトだった彼はシーズン中に事故で死亡。まだまだ成長の余地があっただけに残念だ。

 気がかりなのはロサンゼルス・ドジャースの前田健太のP/IPは、16.68。これは非常に悪い数字。先発投手の最低の責任と言われるQS(6回以上投げて3自責点以下)は、14、規定投球回数以上の40人中で32位。
 序盤から球数がかさむために、抑えていても6回より早く降板することが多かったのだ。
 長いイニングを投げることができないと、信頼感は損なわれる。また、投球効率が悪いと故障のリスクも増える。
 来季は1イニングあたり1球少なく投げることを目標にすべきだろう。わずか1球だが、これは容易ではない。しかし、長く活躍するためには必要だ。

 ちなみにテキサス・レンジャーズのダルビッシュ有は、100.1回を投げて1579球。P/IPは15.73、良い数字とは言えないが、MLBデビュー以来この数値が16を切ることがなかったダルビッシュにとっては進化の後が見られる。
 トミー・ジョン手術の後だけに、効率的な投球を心掛けたのだろう。

 今季のMLB日本人先発投手は、かつてない好成績だったが、これを続けるためには投球効率P/IPは、重要なファクターであり続ける。
 来季はどうなるだろうか?

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