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なぜ、このタイミング?田中将大の駆け込み復帰が示す、ヤンキース陣営の狙い

21日(日本時間22日)にニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が先発復帰をする。チームはプレーオフ進出がほぼ絶望的な状況だが、シーズン終盤に田中が登板するには、理由がある。

2014/09/20

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なぜこのタイミングで先発復帰なのか?

 マー君が帰ってくる。右肘靱帯の部分断裂で故障者リスト入りしていたヤンキース・田中将大投手が、21日(日本時間22日)の本拠地でのブルージェイズ戦で、先発で復帰することが決まった。
 
 果たして田中はこの時期に無理をして復帰する必要があるのか?という声も聞こえてくる。確かにヤンキースはすでに地区優勝の可能性が完全消滅。ワイルドカード争いでも2位ロイヤルズに水をあけられ、プレーオフ進出は絶望的だ。数字上の可能性をわずかに残すとはいえ、選手や監督ら現場は口にこそ出せないが、今季のことは諦めている。もう誰も、逆転プレーオフ進出への救世主などとは期待していない。田中の駆け込み復帰。その狙いは今季にではなく、15年シーズン、はたまたその先の16年シーズンにある。
 
 7月10日の検査で内側側副靱帯に小さな裂け目が見つかった。「手術の必要はない」という診断だったが、同時にキャッシュマンGMは「リハビリが思わしくなければ手術も選択肢に入ってくる」と当初から話していた。実戦で肘にかかる負担は、実戦を通してでないとはかれない。もう一度メジャーのマウンドに立ち、本来の投球ができない場合や、肘に再び異常を訴えた場合には、トミー・ジョン手術を余儀なくされる。
 
 トミー・ジョン手術。脚や手首など、自らの体の別の靱帯を移植して再建を目指す。施せば、メジャーのマウンドに帰ってくるまでは1年半、というのが現場の共通認識だ。仮に田中が今季中にメジャー復帰せず休養にあて、来春のキャンプやオープン戦に入ってから肘に異常を訴え手術となれば、15年シーズンが絶望となるだけでなく、16年シーズン中の復帰すら難しくなる。一方で、実戦復帰で不安を覚えた場合でも、今手術へと踏み切れば、15年シーズンは絶望となるが、16年シーズンの開幕前に帰ってこられる。今オフの補強戦略も左右する。ヤンキース首脳陣は、そこを見極めたいわけだ。その証拠に、ジラルディ監督は今季終了までに復帰が間に合わなかった場合には、10月に行われる教育リーグなどで実戦登板させるプランまで温めていた。「彼は今年中に〝どこか〟で投げる。投げなければいけない。来年の春までは待てない」と同監督はリハビリ課程で語っている。

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