古くは明治2年、現在の経済効果は800億円以上も。メジャーリーグ春季キャンプの歴史
メジャーリーグでも春季キャンプがスタート。日本とは異なり、多くの試合を行う中で調整するのが主流だが、その歴史はどのようなものなのだろうか? また、現在ではレギュラーシーズン以上に人気を集めるため、莫大な経済効果を生んでいるという。
2018/02/16
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練習主体から試合主体へ。MLBキャンプの変遷
初期のメジャーリーグの春季キャンプは現在の日本プロ野球のそれと同じように、オープン戦よりチーム練習に重きが置かれていた。それぞれのキャンプ地もばらばらに散らばっており、シカゴ・ホワイトソックスがカリフォルニア州のカタリナ島でキャンプを張ったり(1922-1942, 1950-51)、ハワイ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコで行われた例もある。
全てのメジャーリーグのチームが参加していたわけではないが、1917年にフロリダでグレープフルーツ・リーグが、1947年にはアリゾナでカクタス・リーグが誕生した。1957年にドジャーズとジャイアンツがニューヨークからロサンゼルスとサンフランシスコにそれぞれ移転し、西海岸にメジャーリーグのチームが次々と生まれてくるにつれ、現在のようにフロリダとアリゾナの2地域にキャンプ地が集中してくるようになった。春季キャンプの目的もチーム練習からオープン戦が主体になり、現在の2大リーグ制の形になっていった。
2018年度現在の春季キャンプは前述のようにメジャーリーグ全30球団が15球団ごとに両リーグに分かれている。基本的にはアメリカ大陸の西側に位置する球団(ドジャース、エンゼルス、ジャイアンツなど)はアリゾナに、東側に位置する球団(ヤンキース、レッドソックス、マーリンズなど)はフロリダにキャンプ地を定めているわけだが、いくつかの例外はある。
シカゴの2チーム、カブスとホワイトソックスはアリゾナであるし、ヒューストン・アストロズとセントルイス・カージナルスはフロリダだ。ロサンゼルス・ドジャーズもブルックリン時代からの伝統で長い間フロリダ州ベロビーチ市でキャンプを行っていた。
野茂がドジャースに移籍して初めて参加した春季キャンプはまだベロビーチであったし、過去には読売ジャイアンツも同地でキャンプを行ったことがあることから、ベロビーチの地名を記憶している人も多いのではないだろうか。ドジャースの春季キャンプが現在のアリゾナ州グレンデール市に移転したのは2008年のことである。