MLBの観客数減少は深刻、チケット代収益は前年比約352億円減か。成績の好不調、戦力の二極化が要因
2018/07/20
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チケット代だけで約352億円の減収
2017年シーズンにおけるMLB全体の1試合の平均観客数は3万118人だった。2018年シーズンの現時点での1試合平均観客数は前年比6%減の2万8383人となっている。
米チケット通販サイト『Barrystickets.com』の調査では、MLBの平均チケット価格は76ドル。昨年に比べて1試合につき観客は平均1735人減っている。MLB公式戦の年間試合数は2430試合。減少人数、公式戦の試合数、平均チケット価格を掛けるとリーグ全体の損失額はチケット代だけで年間約3億2000万ドル(約352億円)ということになる。これには観客が球場で購入する飲食代やグッズ販売は含まれておらず、実際にMLB球団が被っている収入減少額はさらに深刻ではないかと思われる。
近年ますます顕著になってきている上位チームと下位チームの二極化が人気低落の原因であると指摘する声は多い。勝率が6割後半を超え、シーズン100勝以上のペースで勝ち続けるヤンキース、レッドソックス、アストロズのようなチームがある一方で、シーズン100敗以上ペースのロイヤルズやホワイトソックスのようなチームもある。もはやペナントレース争いにファンが興味を持てなくなり、球場から足が遠のいているのではないかという推測だ。
シーズン後半になると、プレーオフ進出の望みが無くなったチームが来シーズン以降を見越して、主力選手をトレードで放出したり、若手選手の試験的起用を行ったりするケースが増える。そうなると戦力の二極化はますます進み、さらに観客動員数の状況が悪化する可能性もある。
MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は来季2019年以降、人気チーム同士の対戦を週末に多く組むなどのプランを明らかにしているが、その効果を予想することは難しい。
文・角谷剛