上原浩治の投球に異変?スプリット一辺倒の投球は改善されるか?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、今シーズンもレッドソックスのクローザーとして活躍している上原浩治についてだ。
2015/04/28
Getty Images
急増したスプリットの割合
しかしながら投球内容を子細に見ていくと、今年は少し様相が違うことがわかってくる。
MLBに移籍後の上原の投球を球種別で見ていこう。
球種の判定は公式サイトや各種のアナリストのサイトによって異なる。今回はFanGraphsのデータに基づく。
上原はスプリットを決め球にしている。急速に落ちるスプリットは打者には手が出ないとされる。
しかし同時に140km/hそこそこの球速ながら、切れが良くて抜群のコントロールの速球も持ち味だった。
速球でカウントを整えて、スプリットで料理する。あるいはスプリットを投げるぞと見せかけて速球だけで料理する。
他の球種は単なる目変わりだろうが、速球とスプリットのコンビネーションがMLBでの上原の投球だったはずだ。
しかし今季は、88球のうち72球がスプリット。速球は16球。他の球種はなし。
ほとんどスプリットだけで勝負しているのだ。
上原のスプリットは1種類ではなく、変化の仕方やコースなどで何種類かに分かれているとされる。
だから一概に投球が単調になるとは言えないが、それにしても打者に的を絞られる恐れがあろう。
実は4月25日の登板では4球、27日の登板でも4球速球を投げた。
前年まで投球の半分が速球だったことを考えれば、それでも圧倒的にスプリットが多いが、それでも少しずつ改善しようと思っていることがわかる。
恐らくは自分で納得いく速球が投げられなかったために、封印していたのだろう。徐々に投球の幅は広がると思われる。
MLBにはほぼカットだけで史上最多の652セーブを稼いだ大クローザー、マリアノ・リベラがいる。
上原のスプリットも確かにマネーピッチではあるが、リベラのように1種類の球種だけでセーブの山を築くのは難しいだろう。
やはり、速球とのコンビネーションがあってスプリットは生きてくる。
痛い目にもあったが、上原はこれから本来の投球を取り戻すのではないか。
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