ヤンキース、正捕手サンチェス放出の可能性はなし キャッシュマンGMがトレードの噂を否定
2018/12/03
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ニューヨーク・ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが取材に答え、同球団のゲーリー・サンチェス捕手を放出する可能性はないと明言した。米公式サイト『MLB.com』が2日(日本時間3日)、伝えた。
サンチェスは昨年、33本塁打を放つ活躍で正捕手に定着。強肩強打の若手捕手として将来を嘱望されたが、今季は左肩の負傷もあり、打撃不振に陥っていた。今季成績は89試合出場、打率.186、18本塁打、53打点だった。
今季100勝を挙げながら地区制覇を逃し、ポストシーズンでも敗退したヤンキース。サンチェスの不振が一つの要因になったとの見方もあった。これを受け、米メディア『MLB Network』が、ヤンキースはサンチェスをトレードで、マイアミ・マーリンズのJ.T.リアルミュート捕手と交換したい方針であると報じた。
しかし、キャッシュマンGMはこの報道を否定し、放出の意思はないことを語った。打率は低い水準にとどまったサンチェスだが、その打撃のポテンシャルには変わりがないという。米データ解析システム「スタットキャスト」によると、サンチェスは本塁打になりやすい打球角度で、驚異的な打球速度を記録する割合が高い。110マイル(約177キロ)以上の打球は全体の10%を占め、MLB全体では6位にランクインする高確率だった。
さらに、『MLB.com』は「wOBA」という指標を用いてサンチェスの今季の打撃成績を分析。打者が1打席当たりにどのくらいチームの得点増加に貢献したかを表す指標で、サンチェスは.304を記録した。リーグ平均が.315であったことを考えると、平均以下の打者であるように思えるが、打球の質などを考慮した期待値としては.343になるはずだったという。今季250打席以上に立った312人の打者のうち、サンチェスはこの期待値と実際の値の差が10番目に大きく、“不運な”選手となっていたのだ。
サンチェスは打撃力だけでなく、強肩を活かした盗塁阻止能力も高い評価を受けている。今季のポップタイム(捕手が捕球してから二塁に送球し、カバーに入った野手が送球を捕球するまでの時間)平均は1.94で、MLBで3位の高記録だった。
キャッシュマンGMは打撃、守備ともに来季のサンチェスに大きな期待を寄せている。今季は左肩の故障を抱えながらプレーしたことにも触れ、来季以降の復活に確信を持っている様子。大型補強を明言しているヤンキースだが、サンチェスの復活こそが世界一への近道となりそうだ。