“イチローは特別の存在”起用法からうかがえる「マーリンズのリスペクト」【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、マイアミ・マーリンズでその存在感を存分に発揮しているイチローについてだ。
2015/05/12
Getty Images
今季、守備位置はほぼ固定
「自らの役割」がはっきりしている状況は守備からも窺える。守備位置別の出場試合数だ。試合途中にポジションが入れ替わった数も載せる。
イチローは守備でも「不動の存在」だった。センターにコンバートされた2007年を除いて、マリナーズではほぼライトに固定された。疲労を考えてDHで出場することはあったが、他の守備位置に就くことは滅多になかった。
しかしヤンキース移籍後は「外野手の一人」として、ライトを中心に外野の3つのポジションで使われた。それだけでなく、試合途中にライトからセンター、センターからレフトのように守備位置を変更されることもしばしばだった。マリナーズ時代には2試合しかなかった「試合途中の守備位置変更」が36試合もあったのだ。
今季は試合途中の守備位置変更が1試合もない。昨日はスタントンの代役で初めてライトを守ったが、それまではすべてレフトに固定されている。
こうした起用から見えてくるのは、マーリンズの「イチローへのリスペクト」だ。若手が多く、発展途上の新興チームだけに、イチローのような偉大な実績を残した選手は「生きた手本」になるのだろう。
今回の移籍に際して、マーリンズ首脳は、わざわざ日本までやってきて記者会見を開いた。年俸200万ドルの「第4の外野手」の獲得にしては異例のことだったが、イチローへのリスペクトは上辺だけではなかったということだろう。
まだ開幕序盤の数字のみだが、引き続き、イチローの起用法に注視したい。
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