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「ショートスタート」が菊池雄星にもたらした経験値 疲労軽減、理想的な変化球…豊富なプラス要素を糧に【雄星リポート第7戦】

 シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が26日(日本時間27日)、本拠地Tモバイルパークでのテキサス・レンジャーズ戦に先発登板し、1回を3者凡退に抑える好投を見せた。「ショートスタート」「オープナー」と呼ばれるメジャー独特の起用法を経験することになったが、自身にとっては内容的にもシーズンを戦っていく上で意味のある経験となった。

2019/04/27

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フル回転で登板することでの故障を回避

 マリナーズの菊池雄星が、本拠地でのレンジャース戦に先発登板。1回無安打2三振に抑える圧巻のピッチングを見せた。ショートイニングという役割のため1イニングのみでマウンドを降りたが、しっかり役目を果たした。
 
 元々、この日の“ショートスタート”は疲労軽減策であった模様だ。マリナーズと最大7年契約がある中で、1年目からフル回転で登板することでの故障を回避。様々な憶測があるが、球団の方針はもちろん、ポスティングをする時点で菊池の代理人側が求めていたことだともされている。
 
 菊池は全てをやり抜きたいという性格の持ち主だ。だから、今の菊池にとっては日本では考えられないことも多くある。しかし、それらを受け入れることで、彼が知らなかった経験値を得て野球選手としてさらなる成長ができるはずだ。
 
「メジャーの習わしに従っていかないといけない」
 
 そう話したのは、日本でのメジャーデビュー戦後(対オークランド・アスレチックス)のことだ。この試合では4回2/3を投げたところで降板している。あと1人を抑えれば勝利投手の権利を得られるところだったが、球数が予定数を超えて91球に達していたことで交代を命じられた。1週間早く開幕したこともあって、無理をするべき時じゃないことを本人も理解していたのだった。
 
 この日のレンジャーズ戦は1イニングだけの登板ながら、しっかりと3人で片付けた。ただ、その価値を見出すとすると、これまで初回はほとんど曲がらなかったスライダーが理想的なところで変化をさせることができていたことだ。
 
 加えて、チェンジアップを1球挟んでいたのもこれまでと違った点だった。それも相手を惑わせるための“見せ球”ではなく、空振りを取れたのは彼の中でも手応えになっていくはずだ。
 
 もっとも、これまでの登板で立ち上がりが良くなかったから、この日の登板だけで「光が見えた」とはいえないだろう。むしろ、「1回を3者凡退で抑えた」という事実よりも、マウンドに登るまでの準備に、これまでとの違いがどうであったかを大事にしなければいけない。
 
 契約上の問題があったにせよ、疲労を軽減してもらった。1イニングを全力で投げることができた。そして、スライダー、チェンジアップを操ることもできた。
 
 この日の登板を生かすも殺すも、今後次第ということを忘れてはいけない。

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