相手ベンチに影響を与える“代打・大谷翔平”。苦にしない左腕を相手チームがぶつけてくる理由とは
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が、代打としても存在感を放っている。指名打者(DH)制のない試合では出場機会が限られる中、あらゆる面において相手チームにプレッシャーを与えるジョーカーとなっている。
2019/06/24
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それでも左腕をぶつける理由とは
それでも、あえて大谷に左腕をぶつけてくる理由をあえて探すのなら三振率の高さが挙げられる。大谷の対右投手への三振率が21.1%なのに対し、対左投手には34.5%(55打席で19三振)となっている。現地21日のカージナルス戦では、通算518登板のキャリアを誇るアンドリュー・ミラー投手と対戦し、大谷は外のスライダーで見逃し三振に倒れた。若干衰えが見え始めているとはいえ、ミラーは今季も伝家の宝刀スライダーでの奪三振率は39.7%を誇っており、これで大谷との通算対戦成績を2打数2三振(1死球)とした。
一方で、同23日の試合では、初見の左腕とはいえ格の落ちるテイラー・ウェッブ投手に対しては、ライトへクリーンヒットを放っている。たとえ左投手とはいっても、ミラーのスライダーのような三振を奪える決め球を持っていない投手では大谷には効果がないようだ。
フル出場した週の前半では、ホームランを放つ主砲の活躍を見せる一方、現地19日の試合では、併殺崩れでの出塁、盗塁、シングルヒットの当たりをツーベースにする走塁を見せ、様々な形でチームに貢献できるプレーヤーであることを証明した。この日の大谷のコメントも「復帰当初に比べて身体も動き、走塁でもいいタイムが出ているのでは」と動きの良さについて言及している。
今週は、週末からオークランド・アスレチックスとの4連戦が控えているが、これを皮切りに、オールスターゲームを挟んで、1カ月のうちに実に21試合もの同地区対決が続く。現在アメリカン・リーグ西地区4位に沈むエンゼルスだが、地区2位のテキサス・レンジャースまで3.5ゲーム差、ワイルドカード圏内には4ゲーム差と十分に挽回可能だ。状態のいい大谷がどこまでチームを押し上げてくれるのか、今後が非常に楽しみになってきた。
高橋康光