エンゼルス・大谷翔平、待望の一発に「仕事ができていないという気持ちはあった」。打棒爆発の鍵は“引っ張り”
現地8月18日(日本時間19日)に行われた対シカゴ・ホワイトソックス戦で、大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)に待望の一発が飛び出した。実に74打席ぶりとなる今季第16号は、大谷自身はもちろん、ファンにとっても今後に期待を感じさせる一発となったようだ。
2019/08/19
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いかに打球を“引っ張る”か
大谷の打球の平均速度は今季も92.5マイル(約148.8キロ)と昨季(92.6マイル=約149.0キロ)に続きMLB全体でもトップクラスのもの。昨季と比べると、打球角度(昨季:12.3度,今季:6.2度)、バレルゾーンへの打球率(昨季:16.0%,今季:12.6%)はまだまだ物足りないが、シーズンの深化とともに上昇傾向にある。
そうなると、あとはいかに打球を“引っ張る”かだ。データサイト『ファングラフス』によると、好調だった6月は、右34.3%・中32.9%・左32.9%と引っ張る打球が多かったが、8月は右22.2%・中38.9%・左38.9%と引っ張る打球が少ない。ボールを引き付けて逆方向へ強い打球が飛ばせるのは大谷の魅力だが、最近では変化球を意識しすぎてか直球に振り遅れ、差し込まれるケースも目立っていた。
そういう意味で、現地14日(同15日)の対ピッツバーグ・パイレーツ戦の第1打席でクリス・アーチャー投手のフォーシームを強振し、ライト前に強烈なヒットを放ったことは何かのキッカケになったのではないだろうか。このヒットが実に16試合ぶりとなる右方向へのヒットとなると、翌日の試合でもライトへヒットを放った。15日のゲーム後には「打つべき球が打てている」とコメントした大谷。好転の兆しは徐々に出ていたようだ。
ホームランが出なかった苦しい状況を「調子が悪い中でも率がまずまず残っているというのは、成長しているのだと捉えられる。悪いなりにいいところもある」と大谷は語る。苦闘の時期を乗り越え、ホームランという喉から手が出るほど欲しかった結果を手にした今、爆発の予感が漂う。「いい形になりつつある。明日からも楽しみ」という大谷の言葉に期待が膨らむ。
高橋康光