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MLBがマリファナ検査撤廃との報道。オピオイドは罰則ではなく治療の方向へ

2019/12/11

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現在オピオイドに侵されている選手を救うことも

 そもそもMLBが禁止薬物に関する取り決めを見直している背景には7月に遠征中のテキサスで急逝したロサンゼルス・エンゼルスの元投手タイラー・スキャッグスさんの事件の影響が大きい。検視報告書が公表され、スキャッグスさんの血中からオピオイド系の薬物であるオキシコドンとフェンタニルの摂取が確認されている。MLBと選手会が進めているとされる新たなルールではオピオイドの摂取が発覚した選手には罰則が科せられることはなく、MLBは治療プログラムを提供して回復へのサポートを行うと見られている。
 
 新ルールは正式に決定したわけではない。細部には今後あらたな修正が加えられる可能性はあるが、全体的な方向性としてはMLBの禁止薬物に関するスタンスが大きく変わりつつあることを感じさせる。
 
 報道通りにMLBがマリファナ検査を撤廃するとすれば、米国の主なスポーツ団体としては初の試みとなる。マリファナは一般的には他の禁止薬物より危険性は低いと見られているが、一方でオピオイドは危険性も常習性も非常に高く、大きな社会問題になっている。
 
 マリファナもそうであるが、元々は鎮痛剤であるオピオイドにはアスリートの競技能力を高める効果はない。競技の公平性を失わせる筋肉増強剤や他のパフォーマンス強化剤とは異なる扱いをされるのはその為だ。
 
 マリファナには体力の回復を助け、ストレスを軽減する効果があるとされているし、日々痛みとは無縁ではいられないアスリートたちが市販の鎮痛剤に依存してしまい、そこからオピオイドに手を出してしまうことも多いとされている。
 
 厳罰に科せられる心配がなくなるとすれば、現在オピオイドに侵されてしまっている選手たちが正直に名乗り出て、適切な治療を受けることが可能になる。違反した選手をいたずらに犯罪者扱いをする風潮に一石を投じることにもなるだろう。合意が最終化される時期はまだ明らかではないが、今後の経緯に注目したい。
 
 
角谷剛

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