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【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】田中将大の評価はやはりオールスター級。指標から振り返るMLB日本人選手の活躍度

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第5回目はMLB日本人選手の「勤務評定」だ。

2014/10/03

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 MLBではポストシーズンが始まっているが、改めて日本人選手の今季を数字を元に振り返ってみたい。

 ここではWAR(Wins Above Replacement)という指標を用いている。WARは選手の総合評価で、打撃や投球だけでなく守備、走塁の指標も加味されている。

 投手も野手も同一の指標で比較できる点で画期的。MLBのトレードなどでは大変参考にされている。

 WARはFangraphとBaseball Referenceという二つのサイトで算出されている。ここではBaseball Referenceのデータを引用する。

 野手の場合は攻撃(oWAR)と守備(dWAR)の二つの指標が示される。ただし二つの合計がWARになるわけではない。

 レギュラークラスの標準的なWARは2.0とされる。

 今年と昨年の数字を対比させてみた。

日本人野手の置かれた厳しい状況が数字として表れている

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 今季MLBでプレーした野手は三人だけ。田中賢介も中島裕之もマイナー暮らしで終わった。
 青木はリーグを変わったが、打率だけを見れば昨年とほぼ同じ。打率の順位は二つアップしている。

 しかしWARは3.1から1.0に激減している。評価でいえば「好選手」から「並みの選手」に落ちている。これは出場試合数が減ったことに加えて、本塁打が8本から1本に減ったことも大きい。そしてあまり目立たないが、守備(dWAR)が0.6(並み)から-1.3(平均以下)に落ちている。

 Baseball Referenceによれば、青木の右翼守備はRtotという平均的な野手と比較してどれだけ得点を阻止できるか、という数値が25から1へと激減している。右翼手としての抑止力が落ちたと評価されたのだろう。WARのランクも80位から210位に落ちている。

 イチローは、MLBで初めて規定打席を外れた。出場機会、打数も減り、安打数も減った。しかし打率は.284と大幅アップ。ランキングも228位から213位に少し上がった。

 WARは0.8から1.0と少し上昇。日本人には不本意ながら「先発選手として並み」のレベルと評価されている。
 攻撃(oWAR)は-0.3から1.0と大幅アップ。青木と同レベルだ。しかし守備(dWAR)は0.5から-0.2へ。右翼守備のRtotが7から-4に落ちていることが大きい。

 川﨑宗則は出場機会はやや減ったが打撃の数値は大幅向上。
 しかしWARは1.1から0.7に下がっている。ランキングも200位から254位に。

 これは守備(dWAR)が下がったことが大きい。内野手の場合、守備位置によってWARの評価が変わってくる。昨年川﨑は、遊撃で60試合出場したが、今年は4試合だけ。主に二塁(64試合)、三塁(19試合)を守った。このことが守備の評価に影響している。

 三人ともランキングは200番台。MLBのレギュラー野手は255人いるが、そのなかでは平凡な評価になっている。

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