独自の戦術、経済効率重視、ダブル本拠地案…筒香嘉智が加入するタンパベイ・レイズはどんなチーム?
2020/01/17
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先進的なチーム作りに定評
次々と生み出す新戦略
新しいチームに相応しく、レイズは伝統にとらわれることなく、画期的な戦略を生み出すことに躊躇をしない。その中には現在のMLBのトレンドになっているものもある。
セイバーメトリクスに基づく極端な守備シフトは今ではどのチームも採用しているが、もともとは2006年からレイズの監督だったジョー・マドン氏(現ロサンゼルス・エンゼルス監督)がデービッド・オルティスなど左の強打者への対策として始めたものである。
さらに、リリーフ投手を1、2回の短いイニング限定で先発登板させ、本来の先発投手をロングリリーフとして継投する「オープナー」も2018年にレイズが始めたものだ。
少ない資金で効率的なチーム作り
レイズは2018年、2019年の両シーズンにおいて、チームの年俸総額がメジャー全30球団の中で最下位だった。筒香の契約内容は2年総額1200万ドル(約13億1500万円)とされているが、この数字はチーム内では3位の高給取り選手だということになる。ボストン・レッドソックスやニューヨーク・ヤンキースといったトップ球団と比べると、レイズの年俸総額は3分の1程度でしかない。
そのように少ない資金でありながら、独自のデータを駆使してトレードやFAで優れた選手たちを獲得し、チームをプレーオフ進出に導いたとして、ゼネラルマネージャー (GM)のエリック・ニアンダー氏は2019年シーズンのMLB最優秀エクゼクティブ賞に選ばれている。ニアンダー氏は現在36歳で、監督のケビン・キャッシュ氏も42歳である。レイズを引っ張るのはこのMLBきっての若いコンビだ。
二刀流選手の育成にも本気で取り組む
レイズはブレンダン・マッケイ選手を投手と打者をこなす本格的な二刀流選手として育成してきた。マッケイは2017年にドラフト1巡目(全体4位)で入団し、2019年シーズンには念願のメジャーデビューを果たした。
昨年は投手としての出場機会が多かったが、ニアンダー氏は今シーズンもマッケイを二刀流選手として起用し、打者としてのチャンスも増やすつもりだとウィンター・ミーティング期間中に名言している。打者としてのマッケイは左打ちの選球眼の良いパワーヒッターであり、守備ポジションは一塁か指名打者(DH)であるなど、筒香とは重なる部分も多い。
マッケイの他に、レイズは投手と内野手をこなすタナー・ドッドソンという二刀流選手も傘下マイナー組織で育成中である。もう一人、ジェイク・クローネンワースという3人目の二刀流選手も抱えていたが、クローネンワースは昨年12月にトミー・ファム外野手とともにサンディエゴ・パドレスへトレード移籍した。