エンゼルス主砲トラウト、禁止薬物使用の疑いも“潔白”証明 MLBと選手会が声明発表、申し立て却下
2020/01/19
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治療目的での使用は許されているが、過去の事例はなし。レッズの右腕バウアーも言及「気にしない」
ロサンゼルス・エンゼルスの主砲マイク・トラウト外野手について、禁止薬物とされている「ヒト成長ホルモン(HGH)」の使用が許可されているという申し立てが行われた。米メディア『CBSスポーツ』が18日(日本時間19日)、伝えている。
トラウトは昨季、打率.291、45本塁打、104打点、OPS(出塁率+長打率)1.083の大活躍で自身3度目となるアメリカン・リーグ最優秀選手賞(MVP)を受賞。9年間の通算でも打率.305、285本塁打、752打点、OPS1.000とMLB屈指のスーパースターとして君臨している。
MLBは現在、ヒューストン・アストロズやボストン・レッドソックスのサイン盗み疑惑による話題で混沌としているが、その裏でトラウトに関する深刻なニュースが流れていた。
同サイトによれば、トラウトが禁止薬物に指定されている「ヒト成長ホルモン(HGH)」の使用が許されていると申し立てがされたとのこと。そして、MLB(メジャーリーグ)機構とMLB選手会は17日(同18日)に共同声明を以下のように発表した。
「MLB-MLBPA(MLB選手会)合同薬物防止プログラムは、共同で任命した独立プログラム管理者(IPA)によって独立してクリアに管理されている。IPAは年次報告書で前シーズン中に選手に付与された治療的使用許可(TUE)を公開しているが、プログラムの開始以来、メジャーリーグまたはマイナーリーグの選手でHGHの使用許可を受けた者はいない」
この声明でトラウトの名前が言及されることはなかったが、同サイトは「トラウトへの申し立てがきかっけとなったことは明らかだ」と伝えている。その上で、「MLBは毎シーズン医療目的において禁止薬物を使用できるとしており、現段階でTUEの大部分はADHD(注意欠陥・多動性障害)のために処方された治療薬である」とした。
そして、禁止薬物の使用を許可された選手はいないと声明で発表されたことで、トラウトのHGH使用は“事実上否定”されたことになる。
そもそも今回のトラウトに対する申し立ては、かつて選手としてメジャーで通算141本塁打を放ち、引退後はコーチとしてシアトル・マリナーズや米国代表で指導したスコット・ブロシアス氏の息子、デビッド・ブロシアス氏によるもの。しかし、デビッド氏はその後すぐに自身のSNSアカウントを削除し、「トラウトがHGHを使用した証拠はない」と謝罪したという。
さらに、同サイトは実際の選手の声としてシンシナティ・レッズの先発右腕トレバー・バウアー投手のコメントを紹介。米メディア『Yahoo』の取材に対してバウアーが「トラウトがHGHの使用を許可されていたとしても、選手は気にしない」と話していることを伝えている。
「サイン盗み」と並んでMLBで問題となっている「薬物使用」の疑いを証拠がない中でかけられたトラウト。自身の潔白がMLB、選手会の声明によって証明されたが、日々メジャーリーグを賑わすネガティブな話題の数々が今後の発展を妨げることだけは避けたいところだ。