「巨人軍で戦い続けた男たち」 青木・横川・坂口に戦力外通告
10月1日、各球団で一斉に戦力外通告が始まった。特に選手層の厚い巨人で生き残るには本当に厳しい。
2015/10/02
毎年生き残りを懸けた戦いが繰り広げられるプロ野球
「俺はもう28だ。背伸びなしで30が見えてくる。30は男が動かなくなる理由になる」
90年代初頭に話題となった漫画『宮本から君へ』の有名な台詞である。
時間との戦いを続けるアスリートにとっても30歳はひとつの分岐点だ。
プロ野球選手の平均選手寿命は約9年、平均引退年齢は約29歳。
その若さで彼らはある日突然、来年は契約しないことを告げられる。
戦力外になり他球団に新天地を求めた選手も、約半数は結果を残せず1年後に再び自由契約になるという。
ここで生きるか?どこかで死ぬか?
1軍レギュラー野手や先発ローテだけではなく、中継ぎ枠・代打・2軍のポジションまで。
そのすべてが人生を懸けた過酷な生存競争だ。
1日、巨人は青木高広投手、横川史学選手、坂口真規選手の3名と来季の支配下選手契約を結ばないことを発表した。
11月で34歳になる青木は13年途中に広島からトレード移籍。
13年34試合5勝1敗 防御率2.87、14年38試合2勝2敗 防御率2.45と貴重な働きを見せた中継ぎ左腕。
それが2015年は、高木京介の復調やドラ2サウスポー戸根千明の入団で1軍登板なし。
つまり自分より10歳近く若い、20代前半の若手左腕の台頭により出番が激減したわけだ。
広島時代の11年には76試合登板を記録したペローン青木。
その百戦錬磨のベテラン投手ですら、ブルペン世代交代の流れには抗えなかった。
華やかな舞台で誰かが活躍したら、同時に誰かが弾き出されるプロ野球。
昨年6月の西武戦で劇的なサヨナラ打を放った横川史学も、新入団選手の活躍でポジションを失った一人だ。
中日を戦力外になり、巨人で育成契約から這い上がった堂上剛裕。
84年12月生まれの横川、85年5月生まれの堂上。
ともに左のパワーヒッターで守備位置は主に一塁とレフト。
男30歳、年齢も求められる役割も近い二人。
1軍の「左の代打枠」を争い、結果的にキャンプから猛アピールを続けた堂上が競り勝った。
昨オフには左の代打の切り札として12年の五冠達成に貢献した石井義人が戦力外、そして今年は横川。
生き残った堂上も来年また別の選手と争うことになるだろう。